劇場公開日 2014年9月13日

「擬似家族応援シミュレーション」舞妓はレディ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0擬似家族応援シミュレーション

2014年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

まずは「主演の上白石萌音ちゃんが可愛い!」でしょう。この一言に尽きるんじゃないでしょうか。いやね、本当に可愛いんですよ。
まるで身内の頑張りを見ているような、我が娘、我が妹を応援しているかのような、そんな気分にさせてくれるんですよね、この子。健気でね。一生懸命で。
こういうの何て表現すればいいんですかね。巷で、モバイルやなんかで流行りの『恋愛シミュレーションゲーム』ならぬ『身内応援シミュレーション映画』とでも名付けたらいいのかしら。
舞妓さんとしてのひとつひとつの技量を身に付けて、一歩ずつステップアップしていく感じを追体験していくというか。その過程や心情をミュージカルとして歌って踊って表現してくれるってのがワクワクするし、目にも楽しいじゃないですか。
映画全体にうきうき感というか、ゆったり感というか、が漂ってて、肩肘張らずに鑑賞できるんですよ。気持ちが良いんですよね。

で、これ、確かにミュージカル映画なんですけど、でも、そこまでキッチリしてないんですよ。キッチリしてないというか、それだと御幣があるか。あの、ハリウッドのミュージカル映画とかって、ほら、こう豪華絢爛で演者さんらのダンスも歌も完璧でしょ。うっとりするというか。凄い肉体トレーニングや研鑽を積んだんだろうけども、そんなのおくびにも出さないし、プロフェッショナルじゃないですか。アミューズメントパークに例えるならディズニーランド級というか。
それに対しての『舞妓はレディ』は、ミュージカルパートがそんなカッチリ仕上がってないんですよ。その「仕上がってなさ」が、アミューズメントパークに例えるとUSJ的なんですよね。ああ一生懸命頑張らはったんやな、て裏側が見えるというか、「書き割り向こうに阪神高速走ってるのが見えてる」的というか。でも、それがね、味があって良いんですよ。ハンドメイドチックで「なんだかあったかい気分になれるよね」みたいな、そんな感じ。あ、DISってないですからね、これ。褒め言葉ですよ?褒めてますから。悪しからず、です。

あとね、この映画に出てくる登場人物、全員に悪意がないんですよね。みんな善意の人達でしょ。上白石萌音ちゃんをみんなが応援してるという。その雰囲気も良かったです。

アクション!大怪我!大ピンチ!銃撃戦!カーチェイス!切羽詰る!タイムリミット!瀕死!貧困!みたいな映画も、確かに間違いなく楽しいけれど、たまにはこういう、ゆったり気分の湯船に浸かってるような雰囲気の映画も、良いもんです。

ロロ・トマシ