「エンタメ派・周防正行が魅せる舞妓ミュージカルの世界におこしやす〜」舞妓はレディ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメ派・周防正行が魅せる舞妓ミュージカルの世界におこしやす〜
周防正行監督最新作。
ここ最近、「それでもボクはやってない」「終の信託」などシリアスな社会派作品が続いていたが、「Shall we ダンス?」以来久々にエンタメ作品に戻って来た!
タイトルから分かる通り「マイ・フェア・レディ」にオマージュを捧げ、舞妓になりたい女の子のサクセス・ストーリー。
しかもミュージカル!
日本の伝統文化とミュージカルが合うのか?とまず思うが、これが合う!
明るく楽しく、ハートフルなハッピー・ミュージカル!
登場人物が突然歌い出す昔ながらのミュージカル・スタイル。往年のミュージカル映画好きならひときわ愛着感じるはず。
魅力的なオリジナルナンバーが作品を彩り、特にテーマ曲「舞妓はレディ」はシンプルで覚え易い。頭の中で何度もリフレイン♪
「レ・ミゼラブル」「アナと雪の女王」でミュージカルが好きになった方へ、今度はジャパニーズ舞妓ミュージカルはいかが?
周防作品らしく、細かくリサーチ。京世界のあれこれが興味深い。
しきたり、礼儀作法、京言葉、稽古…覚える事が山のよう。
ただ夢や憧れの世界だけではなく、厳しさ、辛さ、大変さも込める。
だからこそ、ヒロイン・春子を応援したくなるのだ。
ヒロインに名のある若手女優ではなく、全くの新人を起用したのが大成功。
ほっぺたが赤い訛り丸出しの垢抜けない田舎娘が一人前の舞妓になっていく。
この上白石萌音が素朴でいちいち可愛い。歌も上手い!
誰もが彼女を愛らしく見守ってしまう。
本作は、上白石萌音が女優となるまでの話でもあるのだ。
年末の新人賞は独占だろう。
春子に京言葉を教える言語学者に長谷川博己、女将に富司純子、先輩舞妓に田畑智子、周防組常連から新顔まで、華やかな作品に相応しく、多彩な面々が顔を揃える。
メイン人物のほとんどが歌声を披露。富司純子までもが!
久し振りの周防組となる竹中直人と渡辺えり子の出演も嬉しい。(ラストではアノ映画風のサプライズも!)
挫折や悩みもある。
言葉への愛おしさもある。
京世界の素晴らしさ、京世界で生きる人々の悲喜こもごももある。
ザッツ・エンターテイメント!
やはり周防正行は外さない!
この秋一番のハッピームービー!
♪ま〜いこ〜はレディ〜