「優雅で穏やかな京ことばが日本の共通語になっていたら…」舞妓はレディ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
優雅で穏やかな京ことばが日本の共通語になっていたら…
キネマ旬報では第14位の選出だったが、
選考委員の二人が第1位に推し、
周防監督作品ということもあり観てみた。
そして、この映画が描く伝統的京都の
芸事に従事する方々の大変さを知る共に、
この映画の出演者もその再現に大変な努力を
重ねたのだろうことも想像した。
しかし、やはり私には
苦手な分野の作品でもあった。
私の映画芸術の
リアリティを重視する思考性に対して、
ミュージカルは舞台芸術と共に
象徴性やデフォルメ描写が重要な芸術だと
思っていて、
映画で好きな作品は「シェルブールの雨傘」
と「ジーザス・クライスト・スーパースター」
など、数少ない始末。
この作品、「マイ・フェア・レディ」を
模した設定に若干の興醒め感があったり、
通常の描写から突然歌い踊り出す設定が、
何故かインド映画が想起される等、
周防監督らしからぬ
オリジナリティの欠如性を感じると共に、
そもそもが通常の台詞と歌の両方が混在する
という私には苦手な構成に、
作品の世界に没入することは出来なかった。
ところで、引き続き京都が日本の首都で、
京都弁が日本の共通語になっていたら
現在とはどんなに異なる日本が
あっただろうかと、
京ことばの優雅で穏やかな特異性に
妙な想像が頭をよぎった。
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