「完全無欠のアクション・ホラー」エイリアン2 完全版 image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
完全無欠のアクション・ホラー
リドリー・スコットによる一作目が、紛れもないSFモンスター・ホラーの金字塔として君臨していることに異議はない。しかし、それでも自分がエイリアン・シリーズの中で最も好きなのはこの2作目。そして、“母性の衝突”というモチーフがより明確に伝わってくるこの「完全版」は、劇場公開版よりも間違いなく優れていると思う。前作であれ程の恐怖を味わったのだから、リプリーがわざわざ闘いに身を投じていくその動機に説得力があることが求められる。その点で、「完全版」は「劇場公開版」を見事に凌駕した。
サスペンスフルなホラー映画でありながら、アクション・エンターテイメントであることを両立するという離れ業を、キャメロン監督は成し遂げ、ターミネーターの成功がまぐれではなく紛れもなく実力によるものであることを証明した。
ところで、この作品は目玉となるエイリアンと本格的に遭遇して戦闘状態になるまでなんと70分以上もあるのだが、それまで全く退屈させないところに、この脚本と演出の凄みを感じる。当然ながらエイリアンとの闘いの畳み掛けるような展開と、駄目推しのクライマックスも完全無欠といって差し支えない。
それにしても、近年リリースされた4Kリマスター版の画質がエグいほどに美麗で、まるで新作映画であるかと見紛うレベルの完成度。これもキャメロン監督のこだわりだろうか。長年に渡って繰り返し鑑賞してきた自分としては嬉しいことこの上ない。
兎にも角にも、モンスター・ホラーとアクション・エンタメにまたがる映画の頂点に君臨する作品として、私は本作を推します。
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