「戦車道、面白いです!」ガールズ&パンツァー 劇場版 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
戦車道、面白いです!
戦車。
近年では『T-34/レジェンド・オブ・ウォー』『フューリー』、往年も『パットン大戦車軍団』『戦略大作戦』…。
漢が戦争で乗って闘う。
しかし、本作で戦車に乗るのは…
可愛い女子高生たち!
無論、戦争などでもない。
華道や茶道のように、“戦争道”なるものが実在する世界。
心身共に女子のたしなみとして鍛えられ、白熱の全国大会もあり、一大カルチャー。
女子高生たちのスポ根×ミリタリーという全く異色のジャンルの掛け合わせで人気を博したTVアニメの劇場版。
劇場版の“最終章”は今も続いているが、基であるTVシリーズと最初の劇場版を今になって鑑賞。
まず、TVシリーズを簡単に。
茨城県・大洗女子学園に転校して来た西住みほ。内気な彼女をフレンドリーな沙織と大和撫子な華が声を掛け、友達になる。
突然、生徒会から呼び出し。廃部になっていた戦車道に入るよう半ば強制的に。
実はみほは戦車道の名門、黒森峰女学園元在籍。さらに、戦車道の家元、西住流の次女。
ある事がきっかけでそれらから逃げてきたのだが、再び戦車道をやる事を決意。別部に入る予定だった沙織と華もみほと共に戦車道に。戦車マニアの優花里、才女だが根暗で低血圧の麻子らも加わる。
全国大会出場。聖グロリアーナ女学院、サンダース大学附属高校、アンツィオ高校、プラウダ高校…強豪校を打ち勝っていく中、ある衝撃の真実を知る事に。
廃部になっていた戦車道が突然活動再開した理由。ここ暫く目立った実績が無い大洗女子学園。このままでは廃校に…。回避するには、かつて盛んだった戦車道で全国大会優勝する事…。
絶対負けられなくなった。
そして勝ち進んでいった決勝戦の相手は、黒森峰女学園。天才と言われるみほの姉、まほであった…。
茨城県東茨城郡大洗町を舞台に、実在の商店街なども登場。
それらが超巨大艦の上。
世界観がユニーク。
キャラも一人一人、個性溢れる。とてもじゃないけど全員紹介出来ないので、主人公のみほを。
少々内気。誰に対しても親切丁寧。こんな女の子が戦車乗り!?…ところがどっこい、驚くほどの冷静な指揮能力、戦術、大胆な作戦。
仲間やチームが危機に陥ったら決して見捨てない。
だから皆、ついていく。
名隊長!
キャラは萌え~だが、ミリタリー描写は超リアル。
数々の実名戦車の登場に、ミリタリー・ファンには堪らない。
戦闘シーンや砲撃、爆音、キャタピラーなどの音響も目や耳が釘付けになるほどド迫力!
ハリウッド戦争映画へのオマージュもニヤリ。
題材は斬新だが、少女たちの友情、青春ストーリーとして、大変興奮&感動&面白かった。
さて、この劇場版は…
TVシリーズのネタバレになってしまうが、全国大会で優勝。見事、廃校の危機を免れた。
大洗町で、激戦を繰り広げたライバル校らとエキジビションマッチが開催。
そんな中、生徒会が戦車道連盟から呼び出し。全国大会で優勝して廃校は免れた筈なのに、信じられぬ事に廃校が決定的に。あの廃校免れは一時的なもの。
悲しみや喪失に暮れる生徒たち。
生徒会長が掛け合って、今度こそ絶対的に廃校回避の約束を取り付ける。それは…
超強豪の大学選抜チームと戦って勝つ事…。
よくあるTVシリーズの興奮&感動を返せ!…な劇場版。
ファン・ムービーでもあるが、面白味は充分。
これまでの試合は車輌の中から一車輌を狙う“フラッグ戦”が主だったが、今回は全車輌を走行不能にする“殲滅戦”。
しかも、大学選抜チーム30車輌に対し、大洗女子学園8車輌。
圧倒的な不利な上、相手の隊長は13歳ながら飛び級で進学した天才。
さすがの大洗女子学園も今度こそは…。絶体絶命。
そこへ、激戦繰り広げたライバル校たちが助っ人加入。
昨日の敵は今日の友。もう気分は少年漫画! 特に、みほ&まほの姉妹タッグなんて激アツ!
全編の半分以上が戦車による戦闘シーン。
劇場版なだけあって、スタッフさらにこだわり抜いたリアルな描写や迫力の音響。
これら、劇場大スクリーンで見たら圧倒されるんだろうなぁ…。
日本では皆無の戦車モノ。当たり前だけど。
それを趣向を凝らして実現した、“本格”戦車映画。
展開的にはTVシリーズの二番煎じだけど、何だかんだ面白い。
興奮。ハラハラ手に汗握る。最後は感動。
やはりこの言葉に尽きる。
パンツァー・フォー!