「2010年代、邦画アクションの最高傑作。」ガールズ&パンツァー 劇場版 ko_itiさんの映画レビュー(感想・評価)
2010年代、邦画アクションの最高傑作。
または「この映画にはアクションで大切な事がすべて詰まっているんだよ」と言いたくなる映画でもある。
「ハリウッドや香港みたいなアクション映画を作りたい」と邦画の作り手たちがやりがちな問題は「スケール感のある設定。迫力のある画づくり。緊張感なカット割り。スリリングな音楽」と、あるのだが、それだけで、あと一つ足りないものは「ユーモア」だ
そう。ユーモアが無い!ユーモアこそがアクション表現を引き立たせるのに必要なものだ。甘さを強調させるためにあえて塩を入れるようなものだ。
今までのハリウッドや香港に憧れて「あんな映画をつくりたい」と考えた作り手がそんな映画をつくっても「そうならない」のはそれが「わかっていないか」または「わかっていてもどうして良いのかがわからない」だろうが、現実に出来上がったのはイマイチ感なものばかり。
かつて黒沢、深作、岡本、などが「持っていた」ものが現在の作り手たちには明かに「無い」証明だ。
しかし、この映画の作り手はそれを「持っている」
後半で自走砲を倒すためにある戦車が活躍するのだが、ふつうの作り手なら激しいカメラワークとスリリングな音楽(または無音)にするのだろうが、この作り手は意外にも軽やかなカメラワークとまさかの「あの曲で」まさしく「魅せて」くれる。
素直に「この映画最高!」と感動しました。
または「ミフネ作戦」があの映画のオマージュであるのは戦争映画好きならわかるが、それをアニメならでは誇張(または、スピルバーグ的な誇張)で、さらに「転がす、転がす!」そして、それがクライマックの一騎打ちへの「引き」にもなっている。という「見事」さ。
そんなユーモアの入れ具合が全体として絶妙に上手く入ってきている。そして、その上手さがリピーターを増やしているのだろうと推察できる。
個人としては2015年のアクションは『群盗』『007 スペクター』だったのだが、これを観ていれば必ず加えただろう。
ちなみに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は「別格」です。
最後にひとこと。
「ガルパンはいいぞ!!」