劇場公開日 2013年8月9日

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「T・マリックによる愛の映像詩」トゥ・ザ・ワンダー arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5T・マリックによる愛の映像詩

2014年7月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

幸せ

最早、台詞、言葉の断片と言ってもいいかもしれないほどの極端に少ない台詞とひたすら美しい映像で綴るT・マリックによる愛の映像詩。
フランスで出会い恋に落ちた二人は、この人だけを愛し続けると誓う。
モン・サン・ミシェル、パリの街を歩く二人は、息を飲むような美しい景色の中で、お互いしか見えないかのようだ。
しかし、舞台がアメリカ・オクラホマに移ると、翳りが…。
どこまでも平坦なアメリカの地方都市とヨーロッパの街の景色はあまりにも違う。
その土地も同じように美しいが、彼女は何処か居心地が悪そうで、それは徐々に二人の間の溝になっていく。
お互いに愛情はあっても、その温度差や表現の方法が違う。
それが、二人の間に溝を作っていく。
時間は止めることが出来ない。
季節は移ろい、人の心の変化も止めること出来ない。

木の葉からこぼれる陽の光、風にそよぐ髪。T・マリックの作品はいつも見ているはずのありふれた日常にある美しさに気付かせてくれる。
ストーリーよりも、瞬間瞬間の美しさ、はかなさに浸りたい一本。

arakazu