「神話は少しずつ形を変えながらリフレインする。」スター・ウォーズ フォースの覚醒 image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
神話は少しずつ形を変えながらリフレインする。
生みの親ジョージ・ルーカスの手を離れた“続三部作”の一作目は、まるでエピソード4の合わせ鏡のようになっている。これを懐古趣味だと揶揄する向きもあるかも知れないが、神話とか昔話というものが同一のモチーフを少しずつ形を変えながら何度もリフレインし続けるのと同様に、(まるで東洋の思想のような)陰と陽のダイナミズムを描いてきたスターウォーズは、これをまた繰り返す。
ルーカスが当初構想したものとは大きく異なるかも知れないが、それでも何も名残がないはずはないだろう。実際、エピソード6までに消化しきれなかった部分をしっかりと拾い上げ膨らませている。それは、残されたスカイウォーカーの血筋のその後…特に、不完全なジェダイであるルーク(彼を完全無欠の英雄と祀りあげたい向きには大いに不満かも知れないが、それは筋書き上ありえない)のその後であり、イメージを膨らませたらこういう展開が十分にあり得ることは、きちんとこの物語の本質を把握できているオーディエンスには理解できるはずだ。
そして、この続三部作の1作目の役割は観客を新たな三部作の物語にきちんと導き入れること。日本には古くから「序破急」という三段構成の考え方があるが、国際的にも三幕構成という考え方があり、これに重なる。まさに本作は「序」という感じで、今後の大きな展開を予感させるような作りだ。古くからのファンにはショッキングな場面も含まれるが(父殺しは、神話の中でも繰り返されてきたモチーフだ)、過去に繋がりながらも物語が新な周期に入っていくその導入としては、十分な作りだろう。
私自身は、何よりも第1作目と合わせ鏡になっているかのような作りに懐かしさに満たされ、半泣きになりながら鑑賞した。次作は古くからのファンの反感を買い物議を醸すことになった(私自身も複雑な気持ちになった)が、決して切り捨ててよい物語ではなく、十分に吟味されるべき作品だと思っている。