「イノベーションの不足しているギャラクシー」スター・ウォーズ フォースの覚醒 アイアムOKさんの映画レビュー(感想・評価)
イノベーションの不足しているギャラクシー
初めて「エピソード4」を映画館で見たときの点数を100点とするならば、今回はせいぜい80点。
ひとつには、自分が年を取りすぎてしまったこと。年を取ってファンタジーは受けつけられなくなってしまい、リアルなものの方が共感できる体質に。正直言って、「オデッセイ」の方がSWより遙かに共感できる。
もうひとつは、銀河世界にイノベーションが見られないところ。「フォースの覚醒」は「ジェダイの帰還」の30年後という設定なんですが、この30年でギャラクシーはちっとも進化していない!
もちろん、「エピソード1」であまりにも過剰な未来都市像を披露しながら、それらが単なるデスクトップ・マスターベーションに過ぎず、ドラマの進展にほとんど寄与していないばかりか、観客の共感も得られていなかったという反省も踏まえてるんだと思います。
そんなわけで、J・J・エイブラムスたちが作ったのは、「エピソード4」すなわち第1作目「スター・ウォーズ 新たなる希望」のリメイクなんですよ。
監督のJ・Jは、自らSWファンであることを公言していますが、では本作は「SWファンの、SWファンによる、SWファンのための映画」に終始しているでしょうか?
必ずしもそうではありません。
ディズニーは、SWマーケットを拡張するために、「フォースの覚醒」でかなり野心的なチャレンジをしています。
それは、主人公を女性にしたこと。これは疑いなく、SWがこれまで不得意としてきた女性ターゲットにアピールするためです。「主人公は女性。しかも、自立していて特別な力を持っている」。まるで「アナ雪」と同じじゃないですか!
それに、レイが黒人のフィンとけっこういい仲になるのも驚きですね。
もちろん、次回作が楽しみなわけですが、舞台はイノベーションの不足しているギャラクシーなもんで、もっぱらジェンダーやら人種の扱いに注目しながら見ることにします。