「真赤なスカーフもう一度。」宇宙戦艦ヤマト2199 第七章「そして艦は行く」 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
真赤なスカーフもう一度。
まずは無事に第七章が上映され(短縮されても)良かった良かった。
もうこれで終わっちゃうのかー。う~残念…。もっと観たかった。
何ならイベント上映後に、今度は全国の劇場でヤマト祭りと称して
旧作新作を取り混ぜてドーンと観せてはくれまいか。(沖田艦長風)
良いと思うんだけどなぁ。観客もたくさん入ると思うしなぁ。
これだけのリメイク作品、まぁTVもブルーレイもいいですけど、
やっぱり映画館の大スクリーンで観たいってば!普通のファンなら。
やっておくれよ、全国のシネコン各位殿。
さて、冒頭に短縮の文字が流れる第七章だったんだけど、
これはTV版・他の媒体ではしっかりと全編流されるそうなので、
とりあえず劇場に足を運んだファンに対するお詫び…だったらしい。
どこがどう足りなかったのかはそこで確認するとして、
単純に観終えた感想は、エ?これで終わり?という感じだった。
後半、すごーく駆け足で終わっちゃったような。
それからレビューに書いている方も多いけど、デスラーがねぇ^^;
今回のデスラーはホント色っぽくてカッコよくて超色男だったけど
ど~も、私の中でのデスラー総統じゃないんだよなぁ…感が強くて。
もっと憎々しいイメージが全身を覆っていて、そこがまた魅力的。
あんな風に前髪サラ~リなんてしてないから(ビシーっと七三系頭)
頭掻き毟ってやろうか!?ばりにムカつくところが多かった気が。
しかしそれを友人に話すと(当時自分は小学生)、子供時代のアニメの
記憶というものは、かなり美化されている。と…。うーんそうかぁ?
確かにデスラーだけでなく、この最終章にファンは特に思い入れが
強く、あの有名な台詞ひとつひとつも、しっかり焼き付いているはず。
駆け足のワリにそれらをビシーっと入れ込んだ監督の手腕はさすが、
現代のヤマト情勢(今の社会を鑑み)のなかに旧作の不都合な部分を
修正しつつ…テイスト残し…修正しつつ…テイスト残し…と地道に
作りあげた感がある。何だあの若いヤツら(ゴメンね)と顔を顰める
あたりでは、あぁ自分が歳をとったってことだな~と思ったりもして。
スターシャと守。どうなるのかなぁ~と思ってたら、ああなったか。
デスラーの想いを撥ね退けた時点で、アベルト(この呼び方慣れない)
も気付いたかな?とは思うが、スターシャも強くなりましたよねぇ。
今作の女は皆手強い。時代が変わったってこういうことかしらねぇ。
あんな思いまでして辿りついたヤマトに対して、あの仕打ち(爆)
とはいえ、コスモリバースの実体がアレ(そうきたか)なので、まぁ
渡したくない!となればこれしかない!と身勝手な選択をしたくなる
スターシャの気持ちも分からないでもない。でも唐突に守兄さんが
出てくる旧作にもビックリ仰天したけど、あの唐突さもまた捨て難い。
哀しい星でもやることはしっかりやってるアダムとイブってことで…
雪と古代の距離がどんどん縮まる(けっこう唐突にだけど)あたりでは
古代が歯を剥き出して「雪~!ゆ~きぃ~っ!」って叫ぶんだけど、
まぁ「雪」って呼んで下さい。なんて言ってた私なので確かに嬉しい。
ただあんなに歯をひん剥いた古代って、ファンにはどうなんだろう。
ユリーシャの大活躍しかり、若手の恋愛模様しかり、エピソードを
盛り込んだおかげで、今ひとつ熾烈な戦いの場面が盛り上がらず、
波動砲を封印したヤマトには今後、続編はないのかなぁ…と思うと
沖田艦長の死と同等なほど悲しくなってくるけど、どうなんだろう。
「いい艦だと思わんか。」で泣き、「ひとりにしてはくれまいか。」
「地球か…。なにもかも、みな、懐かしい。」 …ハラリ。号泣。
いい艦でしたね、沖田艦長。できるならもっと観たかったですけど。
「奇跡は起きるんじゃない、起こすものだ。」と真田さんが言い、
「私たちは愛し合うことだってできた…」と雪が言い、
「君のいない地球に帰る意味があるのか。」と古代が言うあたりも◎
大切なのはやっぱり愛ですよと訴えている本作。
でも愛ゆえに散っていった人々が多いから、それを思うとツライ。
(まさか「さらば~」は作られないだろうが)
現代解釈としての修正が際立った分、単純な残酷性が翳を潜めて、
中盤あたりからはもう星々の愛なしには語れなくなっている本作。
とはいえ、善悪クッキリの旧アニメも現代人に必要なんだけどね。
(それでは全国の劇場でアンコール上映を期待して地球に帰還します)