「3人の子役、タテとヨコ」クローズEXPLODE cmaさんの映画レビュー(感想・評価)
3人の子役、タテとヨコ
生意気ながら、「豊田監督、どこへ行く」と思っていたここ数年…本作でようやくホッとしました。撮りたいものを撮りつつも、観る者を振り落とし過ぎず、何これ?面白いかも!と思わせるさじ加減がなかなか。クレジットに脚本=向井康介さんの名前を見つけ、おっ!と思いました。
明らかに二十代、タバコも酒も似合い過ぎのおっさんになりかけた若者たちが、学ランを着てケンカしまくる…これは当然、壮大なフィクションです。やべ演じる完全なおっさん•片桐が言うように、鈴蘭は、何でもありの遊び場。失われた場所だからこそ、存分に暴れ回れるのかもしれません。
粗々しくツッコミどころもありますが、細部がしっかり効いているなと感じました。特に、3人の子役(テッペンをめざす2人のかつての姿と、中古車販売店の子ども)とやべ演じる片桐。片桐の視点が、若者たちの過去と未来、物語の過去と未来…を巧みにつなぎます。そして、タテとヨコの対比のおもしろさ。背丈のある東出演じる鏑木が、画面中央に立ちはだかり、延々と平行移動していく画は、それだけで魅せるものがありました!
重箱の隅をつついてあれこれとやかく言わず、素直に楽しんでほしい作品です。
コメントする