「黒く暗く、陰鬱と」クローズEXPLODE 海さんの映画レビュー(感想・評価)
黒く暗く、陰鬱と
「クローズ」シリーズを観るのは初めて。豊田利晃監督の作品が好きなので、元々このシリーズが気になっていたこともあって鑑賞。
同じく豊田監督が手がけた「青い春」(2002年)の屋上を彷彿とさせる真っ黒な校舎の落書き、荒い筆致で連なった名前、学校と周辺の町という閉鎖的な世界で繰り広げられる日々、映し出されるのは薄曇りの空ばかり。陰鬱を打ち破ろうともがき苦しんで到達するのは爆発。
所詮彼らは学生(あるいは、元学生、現ヤクザ)という肩書きに縛られている。それと同時にどうしようもなくその場所に結局は愛着を持ってしまって。その幼さ、若さというか情熱というか、愚かさというか…。こんなぶっ飛んだ不良にも学校にも全く縁はないけれど、時折彼らの抱える苦しさに一緒に胸を締め付けられるような思いがした。
スケールが小さいから良いんですよこの作品は。それによって演出される“脱出できない息苦しさ”みたいなものが魅力だなと。
最後の車屋のシーンのおかげでやけに明るくなってしまった気もするが…まあ、あの場所が守られたのは素直に良かったねって思う。
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