赤と黒(1920)

解説

最近翻訳出版されたフランス、スタンダール氏原作の小説を映画化した複雑を極めた恋愛の哀史である。才色兼備の一人の若者を中心に色濃い恋語りが展開されていく原作は、イタリア映画独特の境地とよく相容れ得て誠に情緒尽きるなき映画となっている。(無声、五篇)

1920年製作/イタリア
原題または英題:Il rosso e il nero

ストーリー

フランス、ヴェリエールの一青年ジュリアン・ソールレはナポレオン崇拝者であったが、ラテン語の巧みなため土地の名門ルナール家へ子供の家庭教師に入った。しかるにその老主人の亡き息子の未亡人ルイズと彼とは運命の悪戯か何時か恋仲となった。ある腹黒い男の密告でこの事を知ったジュリアンの師シェラン僧正は彼にその土地から退去を命じた。しかし情けある僧正は彼をベサンレンの修養院に学ばしむる様計った。ここに厳格な教えを受けた彼はラ・モール侯爵家の秘書に推薦され、パリに赴任する事となり途中ヴェリエールにルイズと恋の一夜を明して、ここに新生涯に入った。真摯なるジュリアンには浮薄な社交界は倦怠その物であったが、ラ・モール家の令嬢マチルダとの間に新しい恋の芽を萠した。二人は遂に結婚し彼は軽騎兵中尉として更に新生涯に進み幸福は彼を訪れると見る間もなく、ヴェリエールなるルイズの事から夫婦の間に悲しい雲が閉したが、彼は心激してその地に至りルイズを撃って傷けた。彼は死刑の宣告を受けルイズは彼との仲を老父に知られて監禁された。彼の妻マチルダは事の以外に驚き来ったが遂にジュリアンは情熱の犠牲となって刑場の露と消えた。その日監禁を許されたルイズも心狂いて斃れ、妻マチルダは昔語りをそのままにおのれが夫の首に紅唇熱涙をこめて接吻したのである。真摯なる天性、強固なる意志、美徳欠くなき若者も、恋の情火には身も心も爛れしか、ジュリアン・ソーレルが一生こそ哀愁深きものであった。

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