「SF×人間ドラマの10年代最高峰」インターステラー オレさんの映画レビュー(感想・評価)
SF×人間ドラマの10年代最高峰
地球規模の砂嵐に太陽は遮られ植物は枯れ人類の生存が次第に困難になりつつある近未来。
元宇宙飛行士でトウモロコシ農場を営むクーパーは娘のマーフの部屋の本が勝手に落ちてくるという騒動から他の惑星に人類を移住させる極秘プロジェクトに関わることになる。
人類と家族を天秤にかけながら未だ見ぬ新天地を追い求めて宇宙へと旅立つクーパーらを描いた10年代SF人間ドラマ作品の最高峰の1本。
まず今作は1回では理解しきれない。
もっと言えば複数回観ても自分は理解できないと思う笑。
科学的な専門用語のオンパレードで登場人物が喋っていることの半分近くは理解できない笑。
しかしそれが作品を観るのにあまり苦痛になっていない点が今作のすごいところの1つ。
最後のあたりはさすがに訳が分からないがスケールの大きさに圧倒されて
す、すげぇってなると思う笑。
とにもかくにも音響と映像が圧倒的にすごい。
まず映像。
CG嫌いで有名なノーラン。今作も一切CGを使わずに撮影したというがウソでしょ?みたいなシーンがいくつもある笑。
ワームホールに突入するシーンや氷の惑星でのシーンなどは全てセットやロケでの撮影らしい。さらにはクーパーのコーン畑は実際に種から育てた自家製農園で、クライマックスの4次元空間はああいう形状のセットを作って撮影したらしい。
ものすごい情熱。こだわりってここまで行くと立派な芸術なんだなと感じる。
そんで劇伴はお馴染みハンスジマー。
初見がDVDだった為、当時はあまり凄さを感じなかったが、2017年公開のダンケルクを記念した新宿ピカデリーでの爆音映画祭にてスクリーンかつライブ音響での鑑賞が経験できた。
そういった環境もあるかもしれないがもう音響のレベルがダンチ(死語)
冒頭の砂嵐のシーンで劇場の壁が振動で軋む音が聞こえてきた笑。なんかものすごい重力をかけられたみたいな感じで空気がビリビリして頭は最早ズキズキした笑。
爆発音だとかのただデカイ音だけじゃなく、ひたすら低音の腹の底に来るタイプの音や宇宙の静寂すぎて逆に何か聞こえてきそうな感じの音?もあって、静と剛的なバランスが絶妙だった。
作品のテーマとしては人類の未来をかけた旅を通して描く親子の愛を時間と重力によって翻弄されるみたいな感じ。
いろいろな科学的考証を重ねた上でのリアルなSFを売りにしているらしい。
まさか本当に中盤の水の惑星のような外界との時間の流れが違う惑星が存在するのだろうか。。
たった数時間そこらの調査で宇宙船に戻ると23年が経過していたという超ド級の展開。
宇宙船で待ってたクルーが壮年になっていたことも結構ショックが大きいが、地球から届いていた23年分のビデオレターを見返すシーンがめちゃくちゃクル。半ば諦めたような様子で通信を送る息子の辛辣な表情と大きくなってしまった息子とその家族や約束を守らなかったことを責める娘の通信を涙ぐみながら見るクーパーを観ながら自分はボロ泣きした。
映画に限らずいろいろな作品にありがちな突然の数年後、、的な展開をこれほど時間の経過を感じさせる形で表現した作品は今作以外にあるだろうか。
中盤のこのシーンの表現力は秀逸だった。
前述の通りラストは一般人には理解できないクラスの話になってくるが、自分は今作のラストがとてつもなく好きだ。
マーフの貢献でスペースコロニーの打ち上げに成功し、人類が救われた未来にて目覚めるクーパーは年老いたマーフとの再会もつかの間、マーフの進言で宇宙で生き別れ、恋人の星へと向かったアメリアを救いに行く決意を固める。
当のアメリアは恋人のエドマンズの惑星にたどり着くも既に彼は亡くなっているようで途方にくれたような姿を見せるが、ヘルメットを脱ぎ捨てることで人類が生存可能な星であることを示唆する。
そしてその惑星に向け、修理を終えたTARSとともに銀河へ飛び立とうとするクーパー。
この2つの惑星のシーンの対比に信じられないほどの希望を感じた。と同時にこれから新たな物語が始まるんだと感じさせる期待感がとてつもなく高まった。
今作で最もワクワクするのは間違いなくラストだ。
傑作ダークナイトのラストシーンで疾走するバットマンや次作のライジングのラストシーンで新たなヒーローの誕生を予感させるバットケーブのシーンなど、ノーランはそういうワクワクさせるラストシーンが多いが今作はそれが秀逸だ。
3時間近い作品のフィナーレとして相応しすぎるラスト。
尺は長いが後悔はしない。はず笑。出来れば劇場で笑。
あとはインセプションとの対比で前者は夢の中へと落ちて行く内へ内への物語に対して今作は宇宙へ飛び出して行く外へ外への作品なんだっていう話がすごい好き。
2015年08月23日(日)1回目
2017年09月08日(金)2回目@新宿ピカデリークリストファーノーラン爆音上映