「おさる。」ベルリンファイル ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
おさる。
鑑賞前は期待していたものの、蓋を開けたらいつものテイスト。
といった感じで、舞台をベルリンに設定しキャストを豪華にした
以外は、いつものスパイアクションという描き方に終始している。
実際にこんなことが行われていることが分かっているだけに、
リアルな緊迫感や諜報員の家族の人生苦を思うことはしきりだが、
初めて観た時の驚きが薄くなっているせいで怖さも半減している。
久々に観たハン・ソッキュ、顔は相変らず好きではないが(失礼!)
演技力は大したもの。ただ今回はずいぶん脇に回って地味な役。
主役のハ・ジョンウも常に追われているような役柄が多いだけに、
緊迫感が顔にアリアリと書いてある。
紅一点のアイドル妻チョン・ジヒョンも、相変らずキレイなんだけど
今回は随分と可哀想な役回り。
というわけで、やっているのはド派手なアクションなんだけど、
感情移入できるキャラクターが存在しない辛い本作。
所詮日本人には分からないよ、これは。といわれれば仕方ないが、
掘り下げ方も甘いし、同じような銃撃シーンが延々と続く後半では
ほとんど飽きてしまう。
ただ唯一面白かったのは、敵となる後輩のトン・ミョンスを演じた
リュ・スンボムの顔と醜態(失礼)に、ほぼ出ずっぱりのアクション。
登場するなり彼の顔が「おさる」に見えてしまった私には、
全編に渡って、おさるが喋って演じているとしか思えず…苦笑い。
なんて面白い顔なんだろうか(双方の方に対して本当にすいません)
あんな顔なのに(失礼!)動きも台詞も完璧で不気味、
最後のろくでもない銃撃戦まで彼の動きが大半を占めてしまう今作。
前述のスター御三名が霞んでしまうほどの名演技を魅せてくれる。
実際にベルリンというところは、北にとって最重要拠点だったらしい。
そんな歴史背景を知ってから観れば、もう少し楽しめるかもしれない。
外国で撮影を頑張った映像美は堪能できるが、ドラマ面は斬新に
仕上がっていないので、最後を予期しながら安心して観ていられる。
(ハイヒールで窓伝いに逃げる…っていう、使い古されたドキドキ感v)