劇場公開日 2014年10月18日

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「お伽噺のプリンセスが本当の公妃になるまで」グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5お伽噺のプリンセスが本当の公妃になるまで

2018年6月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

萌える

1940~50年代のハリウッドを魅了しながらも人気絶頂時に引退、モナコ公妃となったグレース・ケリー。
まさに現代のお伽噺、プリンセス。不慮の事故死まで劇的であった。
今尚ヒッチコックなどの作品を見ても魅了される存在。
そんな彼女の半生をモナコ公妃となった初期の頃に焦点を絞り、伝説の美人大女優を当代きっての美人女優ニコール・キッドマンが演じる。
意欲作であったが…、残念ながら凡作だった。

公妃となって6年。未だ公妃としての生き方に馴染めず…。夫である大公との関係もぎくしゃく。
そんな時、ヒッチコックから新作映画への出演依頼が。復帰するか否か悩む。女優への未練。
その頃モナコは、フランスと武力衝突にもなりかねない国家間の問題。国家存続の危機。
意を決したグレースは…。

さすがにエピソードは盛り沢山。一つ一つだけでも映画に出来る。
そうなのだ。
公妃として、妻/母として、女優として、一人の女性として、エピソードを詰め込み過ぎて、お馴染みの分散の印象が…。
各エピソードもほとんど響いてこない。
夫婦愛はチープだし、政治面はちと小難しい。
ヒッチコック『マーニー』の舞台裏は興味深かったが…。

本作はモナコ王室から批判を浴びたという。
まあ、それも分かる気がする。
モナコ公妃となって苦悩する姿がほとんど。
大公がまるで妻を束縛する男のように描かれている。(無論、次第に関係は改善されるが)
苦悩は本当だろうが、身内からしたらたまったもんじゃない。

意を決してから国家の為に立ち上がる。
凜として、美しく、気高く。
クライマックスのパーティーでのスピーチは胸打たれた。
グレース・ケリー、そして演じたニコール・キッドマンのリアルの感情が溢れ出ていた。

どうしても気になった点が。
公妃としての立場に苦悩していた時、ある人物が公妃を“演じる”とアドバイス。
いいアドバイスのようにも思えるが、ここで演じてはダメだろう。
偽りになってしまう。
公妃を演じるのではなく、本当の公妃にならなくてはいけない。
そのクライマックスのスピーチからは演じるではなく、真に迫ったものを感じ取れたが、妃殿下になるとはそこまで苦悩が絶えないのか。
故ダイアナさんや皇太子妃雅子様はニュースで報じられた事あったが、いずれキャサリン妃や先日挙式が盛大に挙げられたメガン妃も…。
するとやはり本作は、本心に迫ったリアルか。

近大