「俺はおまえのもんだ」私の男 Miyuさんの映画レビュー(感想・評価)
俺はおまえのもんだ
二度目の鑑賞。(原作未読)
初めて見たのは公開時だったが、ラストシーンが衝撃で、克明に覚えていて更に衝撃。
花演じる二階堂ふみさんの演技が素晴らしい。中学生から大人になるまで、変わりゆく狂気と増していく美しさを見事に演じ切っていた。心に空いた穴を、血で繋がることで必死に埋めようとしていた中学・高校時代は、あまりに魅力的。
そして花が美しくなることに反比例して、衰え堕ちていく淳悟演じる浅野忠信さんの演技も圧巻。誇らしげに花を愛する表情と、その裏に父親になることができないもどかしさをうつしていて、素晴らしかった。
花の震災の傷、淳悟の抱える闇を癒すために、彼らが選んだのは、血で繋がることだった。そして狭い田舎で、そんな彼らに居場所はなかった。2人だけで完結している世界であれば、究極、愛し合っていればよかったのかもしれない。しかし、世間や周りの目からは逃れられないし、外界からの影響によって信じていたものは崩れ落ちていく。花が「わたしは悪くない」とつぶやいていたが、確かに悪くないかもしれないが、結局それを決めるのは世間であり、モラルという物差しで計れば、「彼らは悪い」のだ。(殺人ではなく禁断の愛の部分にフォーカスしています)
もし、人を愛することの真骨頂が体を重ねることであるのならば、2人の愛情を否定することは誰もできないのではないか、と思ってしまう自分もいた。結局2人は「死ぬほど後悔」してしまっているから、これが私たちの愛だと主張することはできないけれど。
ラストシーン、何言っているかわからなかったが、まさか「おめでとうは?」だったとは。最後の2人の表情が脳裏に焼き付いて離れない。