「悪い点。良い点。」アメイジング・スパイダーマン2 カーツ・桜さんの映画レビュー(感想・評価)
悪い点。良い点。
ネタバレ 注意
☆悪い点は4つ。
1。ピーター・パーカーは、まじめなキャラクターなのに、スパイダーマンになると、おちゃらけキャラになること。これは原作どおりだ。だが、実写で俳優が演じると違和感がある。二重人格みたいでリアリティーがなくなる。
2。悪役がエレクトロ、グリーン・ゴブリン、サイノと3人も出ること。多すぎる。エレクトロだけで良かっただろう。ハリー・オズボーンは出てもいいが、「グリーン・ゴブリンに変身する前の普通人」の設定だけでいいだろう。
3。旧作のサム・ライミ版は「悪と戦うヒーロー」の面よりも「人命救助ヒーロー」の面が濃かった。結果として観客はスパイダーマンに感情移入しやすかった。
(これはリチャード・ドナー版「スーパーマン」をお手本としたからだろう)
マーク・ウェブ版「アメイジング・スパイダーマン2」は「人命救助ヒーロー」の面が薄まった。だから、やや感情移入しにくくなった。
4。グウェン・ステイシーが死ぬこと。これは原作どおりのストーリーだ。だが、映画で観た場合でも唐突すぎて違和感がある。映画は別ものとして作って、グウェンは生き延びるストーリーの方が良かっただろう。
☆良かった点は1つ。
1。ピーター・パーカーがスパイダーマンの超能力を得た理由が複雑化したこと。実は行方不明になった父親リチャード・パーカーが関わっていたこと。その謎解きに至るまでのサスペンス・ストーリーがあったこと。こういう仕掛けは個人的に好きなので。
こうして箇条書きにすると、頭を抱えたくなる。悪い点の4つは、どれも脚本の段階で解決できたような気がする。
旧作のサム・ライミ監督は、本人がスパイダーマン・ファンなので「愛」があった、と思う。あえて映画は、原作とは別ものとして作った点も「愛」ゆえの結論だろう。
マーク・ウェブ監督や新しい脚本家たちには「愛」がないようだ。「原作どおりに作ればいいだろう」という安直さを感じる。
とはいえ、私はマーク・ウェブ版も楽しんだけどね!