劇場公開日 2013年12月21日

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「親孝行したい時に・・・」麦子さんと クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0親孝行したい時に・・・

2019年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

悲しい

話の筋はシンプルで淡々とした映画。
監督自身の体験を元に、親への愛に溢れた内容です。
親を亡くした方は当然ながら、
故郷を遠く離れで暮らしている方にも染みると思います。

麦子は幼少で別れた母への接し方に戸惑い、
しかもいきなり表れてお節介な母を疎ましく思いながら、
それでも晩御飯を作ってあげちゃう健気さとか、
それを母が見つけて喜び、「食べたければどうぞ」,
とぶっきらぼうに言う照れ隠しとか、
自分にもこういう時期があったなーとくすぐったく思いながら、
今は親目線になって、
自分の子がこんな事してくれたら泣いちゃうな、
という思いも綯い交ぜになって観てました。

母が亡くなった時に、「ザマねぇよな!」と強がる兄が、
骨上げの後片隅で嗚咽を漏らしてるのも、
ベタだとは思いながらジーンときました。

納骨のため向かった母の故郷での出来事は、完全にファンタジー。
登場人物もファンタジーに溢れる面々。
温水洋一、ガダルカナルタカ、ふせえり、麻生祐未。
漸く自分の母の人物像が、故郷の人たちの話で分かってきたのに、
もう母はいないというジレンマを、
麦子を急遽泊まらせてくれた麻生祐未にぶつけてしまう。
それを叱る温水洋一。麦子には今まで味わった事のない、
まるで本当の親子ゲンカを母の故郷で体験し、
ちゃんと謝る事も出来た麦子は、
ホントに良かったなーと、オジサン泣いちゃいました。
追い打ちの「赤いスイートピー」が脳裏から離れません。

展開が凄く早くて小気味良いのですが、
この早さも監督の照れ隠しに思えてしまう。
親へのリスペクト、という意味では、
同じ吉田恵輔監督の「純喫茶磯辺」に近いものを感じました。

クリストフ