「一度で決まる未来など。」ダイバージェント ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
一度で決まる未来など。
いわゆるティーン向けYA小説の映画化らしい。
観てみると、確かに「ハンガーゲーム」っぽい世界観。
それにしても、今のティーン達はよっぽど行き詰ってる
というのが、昨今のヒット映画を観ていて凄く感じる。
自分の居場所を求めて。とか、選ばないと消される。とか、
その選択のどこに夢や希望があるんだろうかと泣けてくる。
逃れられない選択肢に、誤れば絶望の予感がする未来。
そんなたった一回のテストで…と私世代は思ってしまうが、
そういう運命を課せられた現代っ子達には分かるんだろう。
今作も冒頭から、イヤな予感ばかりが頭を覆う。
おそらく両親にはこんな日がくるのが分かっていたはず。
5つの共同体の中から自分の意志で選ぶことができるのが
これからの生き方。親からの自立であると同時に、育った
環境以外での生活を始めるというのはサバイバルでもある。
近未来でなくても、いずれ実社会で子供達はそれを経験する。
己で選んだ道なのだから、親元へもおいそれとは帰れないし、
やってみたら違っていた。なんてことはやるまで分からない。
何事も経験のごとしで、主人公は初めての共同体への参加で、
強烈な洗礼を受け続ける。ただひとつ違うのは、この少女に
下された異端者(ダイバージェント)という診断によって、
正体がバレると政府から秘密裏に抹殺されてしまうということ。
危険分子はサッサと片づけてしまえというワケね、あぁ怖い。
でもここで思った。
この子が異端者なら、遺伝子は親から受け継いでるはず?
結果は中盤あたりで判明してくるが、冒頭から「勇敢」という
共同体を羨望の眼差しで見つめていた主人公、おそらくここを
選ぶんだろうなーと思っていたら、やっぱりそうだった。
ただ彼女は「無欲」出身で、「勇敢」を選んだ、「異端者」である。
人間を簡単に色分け(性格分け)できないことを、
今後彼女が身を持って証明していく…というのが今作の流れ。
物語は単純で分かり易い一方、けっこうなアクションや妄想
による恐怖など、映像面での工夫が凝らされていて楽しめる。
(他の共同体がもっと見たかったわねぇ。平和や高潔は続編か?)