「デスパレートな子供達。なぜ原作はベストセラーなのか、大人は真剣に考えるべきだと思う。」ダイバージェント さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
デスパレートな子供達。なぜ原作はベストセラーなのか、大人は真剣に考えるべきだと思う。
原作は全米で400万部を売り上げたベストセラーYA小説です。
子供向けでしょ?
またYA小説の映画化かよ?
すみません。そう笑わないでくださ-い!
「ハンガー・ゲーム」
「トワイライト」
とは違った、現在のデスパレートな子供達の現実が見えてくる本作。
何故この作品が子供に人気なのか、大人は真剣に考えるべきだと思いました。
16歳になると性格テストがあり、共同体のどれに適しているか判定される。この共同体は、家族より大事にするべきものとして描かれています。
無欲の両親の元で育った16歳のベアトリス(シェイリーン・ウッドリー)は、このテストでどこの共同体にも適さないダイバージェント(異端者)と判定されてしまう。
どこの共同体にも属さない異端者は、危険分子とされ政府から抹殺される。考えが読めない異端者は、世界の調和を乱すと考えられているのです。
試験監督(マギーQ)が可哀想に思い、名前をトリスと変え自分を偽ってどこかの共同体に入ることをすすめます。
トリスは「勇敢」を選ぶ。
けど共同体に入っても、気は抜けない。しょっちゅうテストがあって、本当にその共同体に適してるか?度々チェックされる。
それに勇敢は警察や軍事を司ってる。体力勝負です。異端者と見抜かれないかと不安を抱えながら、日々トレーニングを続ける。精神的にも肉体的にも、追い込まれる状態です。しかも成績が標準以下なら、キックアウトです。そこを出されたら、他では受け入れてくれない。ホームレスになるしかありません。
(バーチャル)テストはこんな感じです。
カラスの大群が襲って来たら?狭い部屋に水が溢れて来て溺死しそうになったら?ビルとビルの細い橋の上を歩かされたら?
トリスは、
カラスの大群→逃げる。という選択をします。
でも、それがいけない。勇敢の適正を受けた者は、当然"勇敢らしい"判断をしなくてはいけません。つまり、カラスから逃げてはいけない。"勇敢のメンバーらしく"戦わないと。
キャッチコピーには「今こそ覚醒せよ」とありますが、トリスには特殊な能力というより、賢さと他者にはないユニークな発想があるだけのように感じました。しかし生きる為には、自分を殺して"勇敢らしく振る舞う"必要があります。そうしないと、殺されるのです。
原作が何故ベストセラーか?
主人公が自分を押し殺し、身体を鍛え、戦闘を学び、必死に努力して、勇敢共同体で"らしく"生活している姿に、子供達は自分を重ねたのではないでしょうか?
テストの結果で人生が決まる。自分を偽り、必死に周りに合わせ、どこかのグループに属す。属したって安心はできない。グループらしい言動をしないと排除される。どこのグループにも属さない者は、徹底的にイジメられる。排除される。
本作の世界観は、そのまま現代の子供達(大人だってそうですね)が置かれている世界そのものではないでしょうか?
本作は3部作(実質4部)のようで、
第1部「ダイバージェント」
第2部「インサージェント」
第3部「アリージェント(2部構成)」
と続くようです。
本作の主人公ベアトリス(トリス)が、自分らしく生きられる世界になるのか?
注目したいと思います。
「きっと、星のせいじゃない。」主演の二人が共演しているという理由だけで見始めた本作。実はこの二人より、ケイト・ウインスレットに凄く惹かれました。
初めてしっくりする役をやってる!と思ったんです。
賢くて、意地悪そうで、威圧感がありドSっぽい。チーム「博学」の最高責任者役です。ケイト・ウィンスレットが、今まで演じたどの役よりハマってます!
あとトリスの母親役に、アシュレイ・ジャド。母と娘で敵に立ち向かう姿が、新鮮でした(助けに来るのは父親が多いような気がする)。