「前作のサンブンノイチ。」サンブンノイチ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
前作のサンブンノイチ。
前二作がけっこう面白かったので、三作目はどうかなぁ?と
半分半分の期待感で観に行った。結果…
今回は他人原作に挑んだみたいだけど、脚本は監督自身が
どんどん書き替えたらしいので、ほぼ品川ヒロシの映画だと
いってもいいくらいなのかな…?とするとやや残念な結果に。
バカがつくほど直球勝負の前ニ作に比べ、話の展開からして
二転三転するクライム・サスペンス・コメディ。面白くない話
ではないだけに、あ~もったいない。が正直な感想になった。
お笑い芸人を多数使いギャグ満載に仕上げなければならない
のかもしれないが、お笑い部分は主役三人の一人が殆ど喋り
通しなので、それだけで十分。藤原竜也もノリに合わせて
冗談を生真面目な顔して繰り返す。俳優の使い方も色々ある
だろうが、ウケを狙う要素を沢山知っている監督ならではの、
もっと巧い使い方があったんじゃないだろうか。芸人をまんま
出してきてワケの分からんギャグを一芸だけ見せていくという、
まったくストーリーと関係性のない一コマが分を悪くしている。
主役三人に怪しい女が絡んで大物と闘って騙すという、基本形
だけで楽しめる話なので、ゴチャゴチャ付け足したのが蛇足。
そしてバックに流れる、めっぽうカッコいいジャズの流し方も
この作品に合っていない。やたらチグハグな感じになっている。
役者勢は素晴らしい。藤原・窪塚・池畑の三人だけでもかなりの
台詞量で、それをタタタ~っとこなしていくベテランの強みが
チグハグな流れに喝を注いで、後半はスカッと〆をさらっていく。
引き換え、前半のダラダラと続くどうでもいいギャグとチンタラ
続く会話には眠気を催してしまった。中島美嘉は私的に魅力的と
思えないタイプなんだけど、もっと悪女使った方が面白いのでは。
田中と小杉は主役に含まれるため、かなりの台詞量と演技を求め
られているんだけど、そこそここなしているのがエライ。三人の
アンサンブルが決して悪くないだけに、テンポの滞りが勿体ない。
結局、いい話にしたかったのか?悪いまま終わらせたかったのか?
ラストで窪塚が吐く台詞が真相を語っているのが一番愉快だった。
(原作はかなり面白いという話。拷問シーンは強烈みたいだけど^^;)