劇場公開日 2014年1月18日

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「Richard Linklater」ビフォア・ミッドナイト Editing Tell Usさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Richard Linklater

2018年11月25日
PCから投稿

今日の作品は、”6才のボクが、大人になるまで。”で大きな話題となった、リチャード・リンクレイター監督の作品をご紹介。

見た後に知ったんですが、この作品は、1995年の作品”恋人までの距離 (Before Sunrise)” と2004年”ビフォア・サンセット”の続編だったんですね。(笑)
知らずに見ましたが、それでも楽しめたというところが、今日の話題です!

この映画は、題名通り、ある夜の前日を描いた作品です。ほとんど全てのシーンが会話シーンで、キャラクターが会話を進めることで、ストーリーが進んでいきます。

この作品にもいわゆる、決まった三幕構成のようなものは存在しますが、それ以上に”THE映画”というような、カメラワークや演出は行われないのが特徴です。
長回しで、定点だったり、キャラクターと並走していたりするカメラの位置は、キャラクターを正面から捉え、2ショットが基本です。OTSをあえて用いず、2ショットで進めて行くことで、我々視聴者が、どちらの表情を見るのか選ぶことができます。

映画ないの時間設定は1日。さらには、シーンの数は10個以下。ショートフィルムのような構成で、長編映画を作り上げています。そこを彩るのは、素晴らしい脚本と、俳優たちの演技。

この手法は、前作2作品でも用いられているようですが、ここには現実と超現実の間みたいなものを描く力があるように感じました。

特に私の印象に残ったのは、家族揃っての食事のシーン。日本ではお正月やお盆によく見る光景ですが、これがなんとも生々しい。それなのに、メインのキャラクター二人(ジェシーとセリーヌ)の生活を囲むように会話が進んで行く。
視聴者は、ジェシーかセリーヌのどちらかの感情、もしくはそれを見ている第三者としてその会話を見ることになります。その会話のクリティカルさが映画でした。
ただ単に、世間話をしているわけではなく、ジェシーとセリーヌが抱えている問題を時には間接的に、時には直接的に、違う国籍の見方から、違う世代の見方から、その問題を掘り下げて行くかのように会話が展開し、一見前に進んでいないようなストーリーですが、その会話の中でも、キャラクターが作り上げられ、さらにはストーリーが確実に前に進んでいるのがわかります。

そして最後のホテルで、それらが二人の間に天秤にかけられ、誰もが経験したことのある、言い合いに発展していきます。

この映画は、もちろん会話がなければ成り立たない映画ではありますが、それと同じぐらい映像がないと成り立たない映画でもあります。

トーキー映画発明以降、映画は音が50%をしめるようになりましたが、今後も映像と音のどちらも50%を超えることはないのではないでしょうか。このバランスが崩れると、過去に戻るか、駄作になるのかどちらなのかと思います。

前作2作も見て見たいなと思いました。

Editing Tell Us