劇場公開日 2013年6月15日

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「思ったより良かった」二流小説家 シリアリスト いずるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5思ったより良かった

2013年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

事前情報ではあまり評判が良くなかったので期待せずに見ました。
思ったより良かったです。

前売り券を前売り券つきグッズに釣られて買ってしまっていたので、
「評価2.5の映画かあ……買うの間違ったな」なんて思いながら見に行きました。
全然低評価される映画ではありません。
低評価を受ける映画というのは……もっと全身を「なんだこの映画!!こんな映画に金払うんじゃなかった!!」感につつまれます。
例をあげてもいいんですが、ここは『二流小説家』のレビューですので控えます。
この映画はそういうのもなく。
ふつーに見てふつーに楽しめる映画でした。
大作、傑作とまではいかないんですけど、邦画としては上手くいった方じゃないかなあ。あの鳴り物入りで全国公開されている映画よりずっと。
個人的にはポランスキーのゴーストライターに近い雰囲気を感じました。
あれもいい映画でしたね……

原作未読。

すべての子供は母親に影響される。
それは主人公赤木一平も例外ではありません。つい先日母を失った赤木は実家の整理にやってきた。書棚に残されていた自分の著作に気が付き、ふと開く。母のあたたかさがこもった痛烈な批判のメモが自身の著作すべてに残されている。そのメモは生きている時は暖かい叱責のように感じたのだろうけど、今になると、二流小説家として食べていくのもやっとな自分のふがいなさを責めているようで、苦しくなる。
というのが主人公が持つ親子愛です。これはまだ健全なかたち。
異常なかたちを劇中で示すのが、首切り殺人魔呉井大悟です。
彼はその愛の異常さを自分が赤木に語ることで示します。熱意をもって語りつくし、語りつくしたその先になにがあるのか、というのは自分で確かめてください。

ちょっと難があるのはシーンの移り変わりが激しい事。
これを見せたら次、これを見せたら次、とストーリーを進行させることを重視し過ぎて人物の深みが感じられない。そのバックストーリーも一面的のような……求めすぎかもしれませんが。

いずる