劇場公開日 2013年3月30日

  • 予告編を見る

「心理的な追いつめられる怖さがピークに」チャイルドコール 呼声 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0心理的な追いつめられる怖さがピークに

2013年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

何と言ってもこの作品の最大の特徴は、ノルウェー映画であると言う事で、日頃欧米の映画でお馴染みの俳優が出演していないと言う事が、私達観客にとっては、白紙の状態で映画を楽しむ事が出来るので、最大のメリットとなっている。
言わずと知れて、サイコスリラー映画を観る時の最大の楽しみは、展開が予期出来ない事の面白さであり、ラストのドンデン返しなど、全く予測不能な結末を観る事で、味わう意外性の面白さが有る事が、この類いの作品を観る時の最大の楽しみになる。

それが、有名俳優を出演させている場合には、それだけで、観ているうちに犯人の目星や、ストーリー展開が直ぐに出来てしまう事があるので、そう言う点で、知らない俳優ばかりだと、この人の後にもっと重要人物が登場するかも知れないと言う期待感を常に持って映画を見届ける事が出来るから、サイコホラーとか、サスペンス映画に於いては結構、無名の新人ばかりの映画とかの場合が案外面白かったりするものだ。
しかし、その時に問題になるのが、出演俳優の演技力だ。新人ばかりの下手くそな俳優ばかりが出演していたら、映画全体がシラケテしまう。
しかしこの作品に限って言うなら、普段見慣れていない国の作品なので、自分がその出演者達を知らないだけなので、重要人物かどうかの判定が直ぐに出来ないし、俳優の芝居の優劣も心配には及ばず、安心して楽しめる。

本作ではノオミ・ラバス主演作品と言う事であるが、彼女の映画を観るのは初めての私にとって、彼女の芝居はとても新鮮に映ったし、ファーストシーンの彼女と、徐々に物語が進行して行くうちに見せる彼女の表情の変化が良いのだ。
それにしても、彼女と8歳になる彼女の息子を演じる子役が本当の親子の様に顔が良く似ているのだ。こう言うのも、海外の作品では関心させられる点の一つである。

この作品の監督であるポール・シュレットアウネがこの作品では、制作、監督、脚本を一人で担当している事から、かなりこの作品には思い入れがある事が予想出来るが、96分と言う尺自体は、それ程長い作品では無く、ちょうど見易い尺だが、観ていて後半正直、少し長く感じてしまったのは、後半部分のストーリー展開にハギレが無くなり、失速してしまった点が、その大きな原因になったのだろう。

ところで、近日A.ヒッチコック監督と妻の映画制作に賭けた彼らの半生を描いた物語が公開予定で有る事や、あの名作「キャリー」のリメイク作品の公開が間近に迫っている事も有り、最近サイコスリラー映画がまた多数注目を博して来ているように思うのだ。
そんな時に、日頃は観る機会が少ない、ノルウェーや、スウェーデン映画を観るチャンスが出来たと言うのも、また映画ファンにとっては、嬉しい展開の始まりかも知れない。
これは、神経過敏になり少しずつ壊れていく人間の恐さが巧く描かれていて恐かったよ。

ryuu topiann