「POVの可能性」イントゥ・ザ・ストーム Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
POVの可能性
「REC/レック」等で用いられる主観撮影が、こんな大作にまで扱われる様になるとは驚きだ。最近は減ってきた印象にあるが、その他のディザスター・ムービーでも同じ事をやろうとする人間は少ない様だ。この手の作品はパニックに陥る人々の様子が必要不可欠な要素であるが、主観撮影ではその様なパニック描写は難しい。ところが本作は、視点は1つでありながら、規模の大きさがよく分かる構成になっている。物語の構成や手抜きのない本格的な災害描写の数々がそう思わせてくれるのだろう。ストーリーは特に特記する所もないものだが、迫りくる竜巻の恐怖を味わう事に特化した特別な作品という認識で良いだろう。
一般市民目線でも描くと同時に、実在する「竜巻ハンター」目線で描いている点は面白い。SF的な車両等、本当にある物かは不明だが、そこからしか撮れないであろう竜巻のど真ん中の映像が体感出来るのが良い。その弊害なのかPOVの最大の特徴である、リアリティという面においては本作には無く、ご都合主義展開だったり、ツッコミ要素は垣間見える。恐らくリアリティに置いては主眼としていないのだろう。だが、一夏を盛り上げてくれる作品としては、高水準だと思う。本編も短く、ちょっとした時間に良いポップコーンムービーだ。
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