「1人でも多くの日本人が見るべき名作」終戦のエンペラー myaa1969さんの映画レビュー(感想・評価)
1人でも多くの日本人が見るべき名作
今の日本が存在する象徴的なシーン、有名な昭和天皇がマッカーサーを訪ねた歴史的会見、世界でも例を見ない大和朝廷建国以来、同血族の天皇を中心に古2000年以上の国家(2位のデンマークですら千数十年)が終焉の危機を逃れた会見である。
(ちなみにアメリカ合衆国は南北戦争で統一した以降150周年、ロシア連邦はソビエト崩壊の後たったの22年。中国4000年は真っ赤のウソで現在の中華人民共和国という独裁国家成立以降わずか64年)
マッカーサーは当初、歴史上の敗戦国家の『Emperor』にありがちな天皇が戦争犯罪者として起訴されないよう命乞いに来るものだと思い込んでいたが、『責任は全て私にある。私の一身はどうなろうと一向に構わない。貴方にお任せする。しかしどうか国民が生活に困り、飢えさせないよう連合国の援助をお願いしたい。』...と真摯に崇高に仰せられた言葉に『私は初めて神の如き帝王を見た。』と茫然となって天皇と国民の絆の強さを理解し、天皇を戦争犯罪人からの除外を決断したシーン。迫真の撮影シーンの裏付けもあって大粒の涙がいくつも零れた。
この映画のテーマ。
天皇は対米英蘭の開始を決定する御前会議でお詠になさられた戦争に反対し、平和を望む「よもの海~」を2度も朗読なさられて明確に開戦反対の意思表示をなさられた。
大日本帝国憲法下における確立された慣行によると、政府と統帥部が決定した国策について、天皇はこれを覆す機能はない。しかし、このご発言によって開戦決定が一旦白紙に戻る。天皇が政府と統帥部が決定した国策を覆したのは日本憲政史上において唯一無二の事態らしい。
近衛内閣が総辞職した後も昭和天皇は東条英機を総理に任命するに当たり、対米英蘭開戦の回避に全力を尽くす事を命じ、東条も腐心したが、アメリカから暗黒のハル・ノートを突き付けられた。
天皇は史実が示す通りまったくの無罪である。
ハリウッドが先の大戦を描く時、映画『パールハーバー』で日本軍が民間人を攻撃していたという有り得ないシーンを描いたり、日本人を野蛮な国民として描く事は多かったが、このように史実に忠実に日本に目を向けだした事は素晴らしい。
先日、アメリカで人気絶大のキャロライン・ケネディ(JFKの長女)が米駐日大使に起用の発表が流れた。久しぶりの強いリーダーの誕生にアメリカがアジアでの日本の存在感に明らかに変化が起こっているものに通じるように思える。
それと最後に、劇場には若いカップルがほとんどという事もとても嬉しかった。何かが変わりだしている。