蠢動 しゅんどうのレビュー・感想・評価
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藩を守るために陥れられる若者。話はなかなか面白かったが、キャストが...
藩を守るために陥れられる若者。話はなかなか面白かったが、キャストがなんとも地味。佐藤珠緒がヒロインって…調べてみると納得。これ、監督が自らの会社を売り払ってまでして作った、情熱溢れるほぼ自主制作ものらしいのだ。
それゆえところどころ物足りない部分はある。特に雪原の決闘の山場で血しぶきがほぼないのは残念、映えるのに。しかし、その殺陣の泥臭さ等、こういう作品ならではの魅力もあった。
映画制作の熱意に拍手。
運命の映画
この映画をはじめて観た時の衝撃は忘れられません。
「運命の映画」に出会ったと思いました。
8月に発売されたブルーレイで観ても迫力は劇場には劣るものの深みのある内容と映像美は充分心に染み入ります。
ブルーレイのみの特典、「メイキング」は単なる記録ではなく、三上監督の編集により、メイキングを超えたクオリティで「作品」として鑑賞することができます。
時代劇、映画ファンには是非観て欲しい作品!
久々に本格時代劇を観た!
と感激したのはいいけれど、
この作品の素晴らしさを上手く人に伝えることの出来ない自分がもどかしい。
テレビシリーズの延長でしかない劇場版なんとかかんとかを番宣に釣られて観てしまった運の悪い貴方。
映画的興奮のいっさいない、山なし落ちなし意味なしの電気紙芝居を2時間も観せられ、怒りを通り越して悲しい気分に落ち込んでいる貴方。
蠢動(しゅんどう)はそんな貴方のための映画です。
このレビューを観ているそこの貴方!
必見‼︎!
とはこの映画のためにあるセリフです。
蠢動
まず、音で驚かされる。静寂さを伝えるべき「猪脅し」が五月蝿い。最後まで「音」の映画だ。
追いかける者によって、それぞれ音色を違えて臨場感を出している。
殺された人が再度、立ち上がり闘っている。
白い雪に赤い血が見れない。最後の場面だけ血しぶきが出る。不思議な映画だ。
全て暗い部屋だ。とても見てて疲れる。制作費の関係もあろうがもう少し視野の広い画面を見てみたい。
藩のためという不条理を親子で引き継ぐ、心の負担となっているのが城主だけであり、他の武士は何も感じないのだろうか。武士道ではない!!
目黒さんはデブ。凄みのある場面が欲しい。
さとうさんは頑張っているがイマイチ。。
平さんは良いね。
凄まじい切なさ
この『蠢動 -しゅんどう-』と言う作品の原型は82年に監督の三上康雄さんがご自身で主演された16mm版が作られていて、そこでは重要な役回りの共演者として、「切られ役俳優」として名高い西田良さんが出演していました。しかし、この映画は劇場で公開されることはなく、以前から個人的に「観てみたい!」と心に思っていた作品だったんです。それが最初の撮影から20年以上経って時代劇も衰退した今、若林豪や目黒祐樹、平岳大、栗塚旭ら豪華キャストで本格的に作り直されたのですから、期待度は観る前からかなり高かったです。
内容はさすがにここでは詳しく述べられませんが、一言で言って「爆発しそうな切なさ」を感じましたね。重々しい雰囲気の中で、若林豪のちょっとした表情の変化だけで全てを語るような演技や、威厳に満ちた存在感と厳しさを表した目黒祐樹らベテラン俳優陣。対する若手俳優陣はちょっと取って付けたような台詞回しのように聞こえることもありましたが、基本的に今現在の言葉で話しているので、そう感じるのかも知れませんね。ただ、そんな中でも平岳大の容姿はその太い首周りときっちり鍛え上げられた体ともども、非常に素晴らしかったですね。正に適役でした。当然のことながら、顔付きは父親である平幹二朗に良く似ていますが、何か少し前の渡辺謙を感じさせるパワフルさと同時に、若かりし頃の片岡孝夫の影のある雰囲気も感じられました。無表情の中に何かを伝える演技ができるのは、さすがだなと思いましたね。
撮影も凝っていて、やたら派手な色合いが多い今の映画に対して、全て淡い色や自然の色を大切にしていて、好感が持てました。また、フィルムにしてもデジタルにしても、とにかく感度が高くなった現代の撮影において、しっかりバックをぼかして画像を立体的描写にして印象を深めたり、反対にバックと人物を俯瞰するように離れたところから中望遠で撮ってそれらを溶け込ませたり、逆に背景ともども人物を長い望遠レンズでアップさせて迫力を付けたりと、構図も含めて観ていて全く飽きませんでしたね。
時代劇の肝とも言うべき殺陣ですが、これは昔の東映風の優雅なものではなく、とてもリアルな雰囲気の力強いものでした。かなり役者さん達も体に青あざを作っていたかも知れませんが、特に最後の雪上の大立ち回りはかなり大変だったでしょう。役者さん達が全力を振り絞って演技することが、死と隣り合わせで形振り構わず相手を倒そうとする雰囲気を醸し出し、それがリアルな映像に結び付いたのでしょうね。殺陣は昔からその名を知られた久世竜一門を今受け継いでいる久世浩。なるほど、リアルな立ち回りはここから来るんですね。
この映画ではテーマ音楽や挿入曲の類は一切使われておりません。エンディングで陣太鼓が長々とその鼓動を響かせますが、この太鼓の音が劇中効果的に使われていました。こんな点も「骨太時代劇」を感じさせる演出だと思います。
この『蠢動 -しゅんどう-』を観終わった時に、何とも言いようのない激しい切なさを感じましたが、どの登場人物も「悪」ではないのがそんな気分にさせるのでしょうか。敢えて言うなら家老の用人や、もう1人の主人公「香川」の剣術のライバルの藩士が悪役と言えないこともないですが、それも私利私欲からの行動ではないので、やはり結局誰もが悪いのではありません。そうせざるを得ない「武士道」と言う彼らの生きた世の仕組みが「悪」となっているので、怒りをぶつけたくてもぶつける実体がない苦しさ虚しさはかなさが絶妙に演出されています。観終わっても色々考えさせられる映画…。素晴らしいじゃないですか! こうした時代劇映画がもっともっと創られることを願いたいですね。
漢の戦い
“日本男児たるものこうでなくてはいけない”という意識を高ぶらせてくれる作品。
そうそうたるキャスト陣の演技と迫力に男なら釘付けになるはずだ。
しかしながら男性のみならず女性の意識も上手く投影しており、さとう珠緒が演じる役柄も大変面白い。
わかる人には必ずわかる時代劇
40年間時代劇を見続けてきましたし、京都の撮影所にも勤務していたことある一時代劇ファンです。
公開初日にこの作品を観ましたが、見終わった直後の感想は「こんな映画を作る人がまだいるのか…」というものでした。見ただけでわかるような正義の味方もいなければ悪代官もない。シンプルなプロットでありながら、それぞれ登場人物の立場の複雑な描写。往年の作品を彷彿とさせるアングルやカラーディストーション、オールロケによるリアリティ溢れた背景設定など、活劇と呼ばれていたころのパワーを感じます。前島誠二郎監督は、「まさに激動の映画。真の劇場映画だ」とも言われていますし、高橋伴明監督も「久々に映画の本道を観た」とも言われているのもうなずけます。そんな言葉を裏付ける作品であることは間違いありません。
古典的なようで新しい、新しいようで古典的まさにそんな作品でした。
そういった意味では、かの中島貞夫監督が「時代劇にとって暴挙に似た試みが始まった。…風穴をあけるかもしれない彼の暴挙に、私は熱いエールを贈る」とおっしゃられているとおり、時代劇の新たな可能性を十分に感じることができる作品でもありました。
確かにバジェット面では大手にかなわないところもありますが、それを見事に補うだけの記号やコマンド、そしてなによりパッションが映像から読み取れます。映画ライターのじょ~い小川氏も「俳優、監督の熱気がカメラから伝わり、時代劇史上屈指の映像美に驚かされた。現代に見事に蘇った本格派時代劇」ともおっしゃられています。一緒に見に行ったフランス人のライターは、「ヨーロッパで上映されたら間違いなくヒットする」といっていました。
いわゆる受け売りの評論家気取り的な人たちや、時代劇は「黒沢明が好き」と言っておけば映画をわかってる風な人たち、はたまたテレビ局主体製作の映画風劇場上映型テレビ番組が好きな人たちからすると、なにがいいのか理解できない作品かもしれません。時代劇のこだわりがどこにあるのかを知るには、時代劇というジャンルの記号をどれだけ知っているかということになりますし、それを試すことができる作品でもあると思います。だからこそ高橋克彦氏の言葉を借りるとするならば、間違いなくこの映画は「未熟者は観なくていい」映画です。
もしかしたらすごい映画かも
若林さん中原さん平さんの演技がすごい。目黒さんも安定感ある。栗塚さんも見事。脇坂さんも熱くて良い。
役者さんのリアリティある自然な演技に加え、すごく音にこだわった(静寂と繊細な効果音)映画なので、画面に引き込まれる。ただ、若干ラストの表現手法が賛否あるかもしれない。ネタバレになるといけないので書けないが監督の意図はわかった!
時代劇ファンは、どこに行けば良いのでしょうか?
長年監督を夢見て、実業界から身を投じた監督の心意気には敬意を表します。
が、長年温め修正・加筆したと思われる本作品の映画としての価値がどこにあるのか判りません。監督のこれからの作品の為に何時もと違う批評を書かせていただきます。
殺陣シーンを敢えて足場の悪い環境に設定したのは、役者のレベルを消そうとしたとしか思えず、必然性がありません。前半にある暗殺剣シーンは、後半の起点となるべき場面で力量が見えてしまい、後半は観なくても判るのは観ている方がつらい。
ですがクライマックスシーンは、想像以上に陳腐であり、暗殺剣のシーンが、この監督のMAXだと判り愕然として終了します。
静のシーンは、観客に知らしめる事も出来ず、全て台詞での説明に終始します、また挿入するタイミングも悪く、そこに入れる必要があるのか理解出来ません。
制作費が無いのは理解しますが、語らずとも観客に語る作品を制作するデンマークのニコラス監督の監督初期の作品を観るに全て監督の力量の差であり、金の差ではありません。
変に目で語るシーンを入れていますが、違和感があり失笑です。
キャスト唯一平岳大ががんばっていますが、如何せん選択された映像角度・背景・範囲・照度が合わず、浮いてしまっています。
なぜそこで、力むシーンがいるのか、私には理解出来ません。
時代劇のこだわりがどのシーンにあるのか理解出来ません。
昔の「化け猫シリーズ」の殺陣シーンの方がまだましで、昔の正統派時代劇を、本作品と比較するのはお門違いです。
時代劇のルネッサンスと呼べる力作
オールロケによるリアルな臨場感、色彩をぎりぎりまで落としたようなフィルムタッチな映像、パン、ズーム、移動を使わないフィックス撮影などある意味徹底した伝統的手法で作られているのに、それが逆に新鮮に感じた。時代劇のルネッサンスと呼べる力作
緊迫感と走る、斬るに圧倒!
前半は「静」の緊迫感、後半は「動」の走る、斬る。
何十年かぶりの本格正統時代劇。
画角、色、音響、音楽が完全に設計され、そこに俳優陣の熱演。
演出、演技に圧倒された。
試写会で観たのだが、劇場でまた観に行く
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