劇場公開日 2013年6月29日

「実話の重みを感じた」コン・ティキ KIKUCHIYOさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5実話の重みを感じた

2013年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

「Kon-Tiki」(50)はアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品で、本作はそれを元に作られたのだろう。しかし、その切口は違っているはずだ。この作品には、考古学上の発見を賛辞するシーンはなく、人間ドラマとして、同じストーリーを描いている。

冒険が、今のようなITに安全を裏打ちされた時代ではなく、死ぬことも当然だった時代の話、仮説だけを頼りに太平洋に乗り出した彼らは、科学者というより、冒険家だ。しかし、この作品は、その航海の成功への賞賛よりもむしろ、信念を貫いたことへの賞賛に、ウエイトを置いている。

主人公トールが、彼自身が力説する仮説を、信念を持って貫いたことが、この航海を成功に導いた。こんな珍説を、自分が信じなければ、だれも後に付いてこないだろう。生死はそのリーダに託された、当時のそのリーダーシップの尊さに敬服した。

Jun Tanaka