「上品な変態映画」危険なプロット 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
上品な変態映画
高校の国語教師の仕事に嫌気がさしていたジェルマンは、一人の生徒クロードの作文に文才を感じ、個人指導をするようになるが…。
鬼才フランソワ・オゾンによるサスペンス。
巧みな語り口に引き込まれてしまうが、客観的によくよく考えてみれば、なかなかの変態映画でもある。
クロードの作文は、平凡な同級生の平凡な家庭に入り、そこで見聞きした平凡な生活の様子をまるで一つの物語のように事細かに書いたもの。
盗み見、盗み聞き、いやいや、盗み書きといった所。
時には皮肉めいて侮辱したり。
言葉選びや文法など最もな指導をしているようで、実は他人の家の様子が面白くて堪らないジェルマン。
やがてクロードは、欲求不満そうな魅力的な同級生の母親によこしまな感情や欲望を抱くようになり…。
作文として書いているので全て実体験なのだろうが、本当にそうか妄想か、劇中のジェルマン同様翻弄させられる。
作文を使って他人をコントロールしていたかのようなジェルマン。
が、実際にコントロールしていたのは、クロードの方かもしれない。
全てはシナリオ通り…のようなジェルマンの身の破滅。
美しい顔立ちながら意図が読みにくいクロード役の青年の佇まいが印象的。
“続く”とは他人を捉えて離さない魔法の言葉。
個人的にびっくりしたオチが。
ラストのジェルマン、あまりの変わりように最初誰だか分からなかった!
コメントする