バーニー みんなが愛した殺人者のレビュー・感想・評価
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CBSドキュメントみたい
殺人事件や加害者、被害者の印象を町の人々が口々に語るインタビュー場面がとても多く、CBSドキュメントを見ているようだった。最初はけっこう退屈だった。
そういった人々もドラマとして語っている面白い構成だった。
殺されたお婆さんが本当に嫌な感じで、あのまま暮らしていたらバーニーはガンになるのではないかと心配するほどだった。
バーニーが人殺しなのに、町の人々に愛されている感じは、すごく上手に表現されていた。有罪になった時はがっかりした。
しかし、「見てよかった」と思えるほど面白い映画ではなかった。淡々としていてけっこう眠くなる。なんでこんな映画を作ったのか、趣味なのか、それほど儲かりそうでもないし、これを作らなければならない意義のようなものは感じられなかった。演者も上手だし、センスのよさも感じらるけど、それをひけらかされているだけという感じもした。
10%の疑惑
エンドロールで服役中のバーニー本人にジャック・ブラックが面会している映像が挿入されていて、ジャック・ブラックは多分その時の印象を役作り活かしているはずだから、“どこか胡散臭い”というバーニー像は、彼自身が感じた“胡散臭さ”だったんじゃないかと思う。
バーニーを知る町の人のほとんどは口を揃えて「バーニーが人殺しをするわけがない」と証言するが、皆が皆いい人だと証言すればするほど首を捻りたくなってくる。
確かに、バーニーに対するマージョリーの扱いには、彼が衝動的に彼女を殺してしまうのも無理はないと思わせるほど酷いのは事実。しかし、酷い扱いに耐えかね衝動的に殺す→何事もなかったかのように彼女のお金を使い続ける→死体は発見される恐れのある冷凍庫に隠す、という一連の彼の行動には一貫性がない。バーニーは“いい人”というより、“よく分からない人”なのだ。
一見、善人による衝動的な殺人。
しかし、悪人による計画的殺人という10%の疑惑が残る。
事実だという驚きのみ
誰からも好かれていた男が殺人を犯す。様々な人の証言を繋げつつ、物語が進む形はリアルを演出しててよい。だが、彼の無罪を信じる人たちがこんなにいたのかという話に終始する。事実に基づく話だということは驚くがそれだけの映画でもある。
白なのか、黒なのか…?
ジャック・ブラックと言えばキョーレツなブラック・ギャグ俳優のイメージ。
とはいえ、私自身は彼の出ている作品だと『ナチョ・リブレ』しか見ていないのだけど。
そんな彼の出ているこちら、当然のようにブラックな笑いに満ちているのかと思いきや、思ってたのと違った。
このお話は、テキサスの片隅にあるカーセージという高齢者ばかりの田舎で起こった実話をもとにしている。
過去については語られていない、小太りな男、バーニー。
葬儀学をまなび、葬祭ディレクターと呼ばれる葬儀屋のセレモニー取り仕切りから納棺師の仕事、営業までこなす。
おまけに人柄もよく、気づかいや優しさにあふれ、舞台劇を観たり出演したりすることも大好きで、歌もうまい。
町の住人はインタビューでいかにバーニーが素晴らしい人物なのかを語る。
そんなカーセージの町にはおよそバーニーとは正反対の家族や住民からも嫌われる大金持ちの性悪なマージョリー夫人がいる。
夫人の旦那さんが亡くなったのを機会に、バーニーと仲良くなった夫人。
はじめこそ、バーニーによい影響を受けていたものの、いつしかバーニーを自分のそばから片時も離さず、使用人や世話係、パートナーのように扱いだす。
バーニーもバーニーで、夫人に莫大な財産の名義人にされながら、彼女の独占欲をいさめることなくしばらくは一緒に過ごしている。
…が、ある日彼は猟銃で彼女を突発的に殺害してしまう。
神様に自分はなんてことをしてしまったんだ!と言いながら、夫人の死体をガレージの冷凍庫に隠し、数ヶ月は夫人が生きているかのように装うバーニー。
町中から嫌われていただけに、けっこう長いこと夫人が実は死亡していてもうまく誤魔化せていたのに、
夫人の姿がずっと見えないことを不審に思った株の仲買人が、夫人を探しだして夫人の死体を見つけてしまう。
…コメディだと思っていたけれど、違ったと思い始めたのはこのあたりから。
相変わらず、住民のバーニーに対するコメントは続くのだけど、カーセージの検事がバーニーを有罪にすべく、あれこれしだすわけです。
カーセージではバーニーの人気が圧倒的なので、なんと、裁判所を違う町に変えてしまう!
陪審員もバーニーのことをよく知らないわけです。
バーニーを守ってくれるものがなく、
やたら器用だったり、舞台演劇に携わっているということ、葬儀ディレクターをしていることなんかもなんだか捉えようによってはすごーくバーニーがもしかしたら皆が言うようないい人ではないかもしれないと思えてくる。
(劇中はそんな説明ありませんが…そう私には思えました。)
見ている側も、はじめのバーニーへの好意的なイメージが揺らいでくるわけです。
これって、もし自分が陪審員だったらどうなんだろう?とちょっと怖くなりました。
人が人を裁くのに、客観性を重視するのか、予見としてある人柄を考慮するのか。
紙一重だなぁー…と。
飛躍するけれど、バーニーとマージョリーさんも正反対だからこそあんなに仲良くなれたのかもしれないし。
わからないもんです…。
お話的には裁判の決着もついて、エンドロールでは本物のバーニーやマージョリーの写真も出てきます。
本当に、この人が人を殺したの?
この人がそんなに性悪なの?
…といった感じの方でした。
バーニーが皆に好かれていたことは確かで、今でも彼は殺人などしていないと信じている人もいて、彼は有罪になるべきだったのかどうかとか個人個人で意見は分かれるでしょうけど答えはありません。
終始、インタビューを多用してたんたんと仕上げたのは観る側に思うところ、考える余地を残すためだったのかな?…と思います。
あんまり笑えなかったけど、コメディだと思って蓋を開けて見たらストレートにいろいろ考えられるいい内容でした。
しかし…ジャック・ブラックの歌声をここまで楽しめたのはよかった!
凡庸
Mothefucker を言わないサミュエル・L・ジャクソンは観たくないし、アクションしないスタローンは観たくないし、キレないウッディ・ハレルソンは観たくない。
毒付いたギャグを言わないジャック・ブラックはジャック・ブラックじゃない。最後の最後まで笑わせてくれないジャック・ブラックに肩を落として劇場をあとにした…。
ただ、相変わらずの歌唱力だけが救いだが、唄うシーンは一回だけで十分だ。1回だったからこそ「ハイ・フィデリティ」は面白かったんだ。
これが映画になるのは、アメリカだから。
実話に基づいた映画。1996年にアメリカ・テキサス州のカーセージと言う小さな町で起きた殺人事件を下にしています。
ふざけているのか、真面目なのか、ちょっと分からない感じがしますが、本人たち(カーセージの住民)にとっては、真面目な話なんでしょうね。主人公のバーニーや、被害者のマージョリー、地方検事のダニーの他、主要登場人物は俳優が演じていますが、そこかしこに当のカーセージの住民たちのインタビューが挟まれます。真面目でなければ、あそこまでバーニーを擁護しないでしょうし、映画にも出ないでしょう。
陪審制で無ければ、れっきとした殺人犯を無罪にしようという話にもならないでしょう。それにしても、地方検事も、選挙があるのによくあそこまで突っ張れたものだと思います。裁判地変更までしてしまいましたからね。初犯で、評判の良い人物ならば、司法取引と言う線もあったのではないかと思いますが、正式な裁判にしてしまいましたからね。逆に、あそこまで話題になってしまったんで、地方検事も引くに引けなくなったのかもしれませんが。
ジャック・ブラックが軽妙に、人のよい葬儀ディレクター助手=バーニーを演じています。エンドロールの時に、バーニー本人の写真も出ているのですが、ジャック・ブラックと似ているといえば、少し似ているかも。それに、確かに、人のよさそうな感じでした。
一方マージョリーも、そのエンドロールの時に写真が出ているんですが、こちらはシャーリー・マクレーンとはちょっと違うかな。シャーリー・マクレーンの方が、憎らしかったです(苦笑)。
それにしても、話自体は、殺人事件という非常に悲しい話なのですが、それに至る過程と事件後の地元の騒動が普通にコメディに見えてしまうのは何故? いかにもアメリカな話だと思いました。
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