「最高視聴率62.9%→興行収入4億円…」おしん 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
最高視聴率62.9%→興行収入4億円…
説明不要。
オリジナルは国内TVドラマ史に燦然と輝く不朽の名作。
その劇場リメイク。
平均視聴率52.6%、最高視聴率は62.9%という、共に国内TVドラマの最高視聴率。
昨今のTVドラマは15%取れたら高視聴率と言われてるから、いかにバケモノ級のTVドラマだった事か。
フ○TVの某社長なんかは喉から手が出るほど欲しい数字だろう。
実を言うと、TVドラマ版は見た事無い。
そういう世代なので。
私と同じ30代半ばの方なら、大まかには知ってるけどきちんと見た事無いという方は多いのでは?
これが正真正銘の“初おしん”。
その感想はと言うと…
まず、内容云々より、映画の出来。
ベタ、古臭い。
演技、演出、音楽全てが。
わざわざ今の時代に「おしん」を映画にする必要、あったのだろうか??
オリジナルは15分×297回で、4455分、74時間強。
そもそも2時間の映画に収める事自体無謀。
オリジナル未見でも要所要所のダイジェスト的に感じてしまったのは否めない。
また、少女期~成年期~老年期の年代物だったオリジナルに対し、映画は少女期のみ。
ここに萎えてしまった。
つまり、「おしん」という作品で誰もが涙した、家族と別れ奉公先で耐え忍ぶ薄幸の女の子でまた日本中の涙を誘おう、というあざとさ。
やりようによっては、映画も年代物に出来た筈だ。
作り手側の志し低さが表されてしまった。
おしん役の濱田ここねは達者な演技。
母親役の上戸彩も意外と悪くない。
父親役は稲垣吾郎である必要あったのかな?
ファンにとっては小林綾子や泉ピン子らオリジナルキャストの出演は感涙モノだろうが、泉ピン子が嫌いな自分にとってはどんなにいい役だろうと好きになれない。
内容は確かに悪くない。
ただ新味や映画的オリジナリティーは皆無で、さっきも挙げたように今の時代に「おしん」を映画にする必要性を結局最後まで感じられなかった。
きっとそれは、観客側も同じだったのだろう。
最高視聴率62・9%が、興行収入4億円。
この数字が答え。
TVドラマ版を見てみよう、とそそられなかったのも痛恨。