劇場公開日 2013年10月12日

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おしん : インタビュー

2013年10月11日更新

上戸彩×濱田ここね 映画「おしん」で見せた女優としての覚悟

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NHK朝の連続テレビ小説といえば、最近では「あまちゃん」旋風が記憶に新しいが、1983~84年に放送された橋田壽賀子原作の「おしん」の人気も尋常ではなかった。平均視聴率は52.6%。様々な社会現象を生み出し、国民的ドラマとしてテレビ史に名を刻んだ名作は、世界68の国と地域で放送された。そして生誕30周年を迎えた今年、「おしん」の物語と精神は、スクリーンの中に受け継がれることに。主演を務めるのは、オーディションで2471人の中から選ばれた濱田ここねちゃん。その母親ふじを女優の上戸彩が演じる。平成版「おしん」(冨樫森監督)に命を吹き込んだふたりの女優が、“覚悟”を決めた過酷な撮影を振り返った。(取材・文/内田涼、写真/本城典子)

上戸が母親を演じるのは今回が初めてではない。しかし、ドラマ版で女優の泉ピン子が演じたふじの姿が、今もなお鮮烈な印象を残しているという事実は、プレッシャーとして上戸本人に大きくのしかかったという。「自信はありませんでした。『まだ早い』『母親に見えない』。客観的に周りの意見は厳しいものになるだろうなと思いました。何より、私自身が(おしんの)母親役なんてありえないなって。正直、すごく葛藤がありました」(上戸)。

それでも気持ちを切り替え、「いざやると決めたら、一生懸命やるだけですから。100%の力を出したいと思った」と“覚悟”を決める強さが、今の上戸には備わっている。山形県内でオールロケを敢行。ここねちゃんの心情を大切にするため、撮影が順撮りで行われた結果、クランクインから2日目、2月中旬の凍てつく最上川で入水シーンに挑むことになった。「撮影当日は周りの皆さんがピリピリしている雰囲気だったので、心配をかけまいとなるべくニコニコしていた」というが、「いざ川に入ると、冷たさを超えて痛さを感じるほど。一度水に濡れると、待機中も体の感覚がどんどんなくなっていって」と苦労を明かす。

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おしん役に大抜てきされたここねちゃんは、2004年3月31日生まれ、宮崎県出身。3歳から地元CMや舞台で活躍し、映画「タイガーマスク」(11月9日公開)に出演しているが、演技は今作が初めての経験で、「撮影が始まる前は不安がいっぱいありました」と正直な気持ちを明かす。宮崎出身のここねちゃんにとっては、「たくさんの雪を見るのが初めてだった」といい、「最初はびっくりして遊んでいたけれど、撮影が始まり、ずっと雪ばかり見ていると、楽しい気持ちがなくなって雪も見たくなくなりました」。

上戸は、現場でも「どう母親を演じるか考えるよりも、1分1秒ここねと一緒に過ごして、ここねを好きになることを意識していた」といい、「ここねは本当に我慢強くて、強いなと思います。子どもの部分と、すごく大人の部分があって。今では女優として、ひとりの人間として尊敬している」とその“覚悟”に最敬礼。一方、ここねちゃんも「上戸さんが現場に入ると『良かったあ、天使が来たあ』と思ったし、みんなもホッとする。とても優しいから、毎日上戸さんと一緒にいたいなと思いました。心の恩人でした」と声を弾ませた。役どころを超えて、互いを信頼し合えていたことがうかがえる。

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こうして母娘のきずなを深めることで、過酷なロケをやり遂げた上戸とここねちゃんの女優魂が認められ、本作は9月に中国本土最大の映画祭である第22回「金鶏百花映画祭」の国際映画部門で最優秀作品賞を受賞。日本映画初となる快挙を達成した。上戸は「この作品が自分のなかでどんな位置づけになるかは、皆さんの意見を聞いてから」とあくまで冷静だが、「今の自分だから出せる色もあるだろうし、足りない部分も含めて、今の上戸彩を劇場で見てもらいたい」とアピールには確かな自信が垣間見える。

最後に、現在9歳のここねちゃんに将来の夢を尋ねると「今は考え中」とのこと。「お芝居は楽しい」と語るここねちゃんに、上戸が「じゃあ、もう1回『おしん』をやってみる? ひたすら奉公する『おしん2』とか」といたずらっぽく語りかけると、「上戸さんが一緒なら……」とパーフェクトな返答で、親子さながらの仲の良さをうかがわせた。

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