「終始泣きっぱなしです。」アンコール!! 右京さんの映画レビュー(感想・評価)
終始泣きっぱなしです。
両親が年老いている事もあり、感情移入し過ぎていたのかもしれませんが、最初から最後まで少しの間を挟んでは泣いての繰り返しでした。
老夫婦の互いを愛する気持ち、妻の残り少ない命、夫の想い、息子の葛藤、合唱講師の強さ。
全てが切なくて、あたたかくて、感情をゆらゆらと揺さぶられました。
残り少ない命の中、明るく慈しみ深く夫と接しながら、最愛の夫に向けて愛の歌を歌う彼女に儚さと力強さを感じますが、そう遅くない内にやってくる残酷な現実を思うとやりきれません。
妻が入院中、いつも妻が眠る場所に湯たんぽを置く姿には涙が滲むと同時に、こんな人を愛おしく思わないわけがないなと変に納得です。
夫は素直ではないようでとても素直です。頑固なようであり、自ら折れるといあ事も知っています。気難しそうなのに寂しがり屋さんで、つっけんどんな物言いと反対に妻を愛する言葉を難しい顔で口にします。保守的なのかと思えば最後の最後でとんでもない行動力を見せる、素敵な人です。
最後のシーン、合唱で3位入賞した年金ズは、バスの中で大騒ぎですが、そこに彼の姿はありません。
その理由が分かった時、心から『良かった!本当に良かった!』と思いました。
作中では何度も歌を歌うシーンがあります。
その歌はクスリと笑わせてくれたり、歌詞を追うだけでも涙が出るような、心に響く歌をたくさん聴けます。
常に目が話せない、全てが見どころの素晴らしい作品でした。
見終わって鼻水のせいで息苦しく、ふと着ていた服の袖を見るととんでもなく広範囲に涙のシミが出来ていて驚きました。
こんなに泣いた映画は初めてです。
見る人の置かれた状況や感性によって思いは様々でしょうが、私には最高の映画でした。
見終わった後、胸が静かにあたたかくなり、素直になれる映画です。
家族との関係に悩む方は是非ご覧になって下さい。