「一見、よく出来ている計画に見えるけど、よく考えると色々と突っ込み所やご都合主義が多い。」サイド・エフェクト Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)
一見、よく出来ている計画に見えるけど、よく考えると色々と突っ込み所やご都合主義が多い。
★ ネタバレビューです。未見の方は注意 ★
新薬の副作用による被害者を装いつつ、一方では薬品会社の株価を落として空売りによって利益を得ようとするふたりの女の犯罪行為を描くサスペンスミステリー。
一見、よく出来ている計画に見えるけど、よく考えると色々と突っ込み所やご都合主義が多い。
まず、主人公の女が旦那を殺害する動機が不明。別にDVを受けていた訳でもないし、収監されていたとは言え、セレブな感じの仕事仲間とのコネもあるみたいだし、まだまだやり直せるレベル。それなのに何の躊躇もなく旦那を殺害してしまい、副作用による夢遊病者を装い、専門家も出し抜くという演技をあっさりやってのける主人公(笑)。その異常すぎる彼女の性格や精神性に説得力を与えるべき過去の背景や生い立ちなどが何も語られないので、真相が分かるにつれて、逆に人物像にリアリティが感じられなくなっていく。
途中の逆転劇も何か都合が良すぎる展開が多い。例えば、副作用で大問題になった医者なのに何故かエミリーの担当を外されないとか、自由になりたいからバンクスの話にあっさり乗ってシーバートを裏切るエミリーとか(そこで裏切ったら旦那を殺してまでやった株価操作の金が一銭も手に入らなくなって、やった事すべてが完全に無駄になるじゃん。いくら病院を出たくても、疑惑の確認もしないうちにシーバートを裏切ったら本末転倒。確認の電話をさせないようにするシーンもやたら取り乱して掛けられなくするというご都合主義的展開。今までの冷徹な精神力と超絶な演技力はどうした?)、他にも、いち精神科医がまだ具体的な証拠もない段階からシーバートを捕まえさせるために警察を動員出来るとか(普通、まだ任意同行くらいの段階では?)、そもそも薬の副作用の責任って、既に認可されている薬を処方した医者が取るんじゃなくて、その薬を作った製薬会社や許可した国が責任を問われるんじゃないのかとか、色々と「鮮やかな伏線回収!」とはちょっと言えない突っ込み所やご都合主義的な展開が気になった。
ラストも一番大変な時に信用してあげずに罵倒して夫から離れて行った嫁がぬけぬけと戻ってきてハッピーエンドってのも、なんかスッキリしない終わり方だった。