「大声で喚き小声で鳴くチキン」ウィ・アンド・アイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
大声で喚き小声で鳴くチキン
独創的な作品が多いミシェル・ゴンドリーが、自身の高校生活を基にした青春ドラマ。
ブロンクス。下校中のバスの中の高校生たちの姿を赤裸々に描く。
舞台はほとんどバス車内、出演者も素人、会話劇、ドキュメンタリータッチで実験的な異色作。
この変化球もまたミシェル・ゴンドリーらしいと言えばらしい。
良く言えば何気ない風景をリアルに、悪く言えば他愛ないくだらない会話が延々と続く。
勿論、バスがジャックされるとか劇的な事は何も起きない。
この高校生たちが見てて、時折イラッともさせられる。
バスの中は俺たちの縄張りとでも言わんばかりにバカ騒ぎ、他の乗客に迷惑かけたり、同級生にちょっかい出したり、挑発してみたり、マジで喧嘩ふっかけてみたり、ナンパしてみたり…。
お前ら、いい加減マナーを守れ!
でも、ここがミソ。
集団行動時と単独行動時の心境の変化。
下校中なので、一人一人バスを降りていく。
仲間と居る時はいきがってたくせに、独りになるとそれまで小馬鹿にしてた相手に友好を求めたり、今の今まで一緒にいた仲間をクズ呼ばわりしたり…。
独りだと急に心細くなるチキン者。
昔、そんな奴、居たような…。
ミシェル・ゴンドリーは憐れみと愛情を持って見つめる。
にしても、最後まで乗ってた連中、外も暗くなって、そんな遠い所から通ってんのかよ!
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