「「ゴジラ映画」で使うべき演出ではない」GODZILLA ゴジラ ゼリグさんの映画レビュー(感想・評価)
「ゴジラ映画」で使うべき演出ではない
ゴジラには結構な思い入れがありまして、そこそこに期待して観たんですが、ちょっと残念でした。
OPは素晴らしかったです。それにゴジラの造形も、ずんぐりむっくりしすぎな感じはありましたが、着ぐるみっぽく重量感があり中々良かったです。
何が残念だったかと言うと、演出がゴジラらしくないというか特撮らしくないなって気がしたんです。偏見かも知れませんが。
たぶん演出力で言うと、この監督はセンスはかなりある方だと思うんです。何と言うか凄く映画的だなと、そういう部分での好感は持てます。
ただそのスキルは「ゴジラ」と名のついた映画に使うような演出かなと少し浮いているように感じてしまいました。
まず冒頭から家族愛が軸に描かれているんですが、その描写は本当に必要だったのだろうかと疑問に思いました。家族を無くした事、無くすかもしれないという主人公の心情を描きたいのはわかるんですが、それで主人公の行動に何らかの影響を与えるという事が特にあるわけでもないので、そういった必要性のないドラマは「ゴジラ」には不要じゃないかなと思ってしまいました。
肉親を亡くしていなくても、自分の大切な家族を守る為に戦うという動機は変わらないはずですから。
それとホラー的演出。B級モンスターパニックなら話はわかりますが、ゴジラであの「ジワジワと間を取って急に襲いかかる」みたいなビックリ演出はやめた方がいいと思います。
ハリウッド映画そういうの大好きですけど、「ゴジラ」は別として考えてもらいたかった。
「世界一のモンスター映画」ではなく、「怪獣映画」として扱ってもらいたかったです。
それと戦闘シーンの少なさ。あれはいくらなんでも短すぎる。勿論ムートーとのバトルはクライマックスまで取っておくって事であえてそうしているんでしょうけど、だとしたらゴジラに街をめちゃくちゃに壊滅させるシーンとか、別のザコ怪獣でも出して戦わせるなりして、そこまでゴジラが動くシーンを何らかの形で出しておくべきだったと思います。
それがゴジラ映画、怪獣映画だと思うんです。
敵のデザインはまあ…ハリウッドだなあという印象でした。どうせならもう少しフィギュアで欲しくなるようなデザインにすればいいのに。
頭部の角ばった硬そうな造形は良かったですけど。
現代のゴジラをもっと見たかった自分としては物足りなく、最高!とはなりませんでした。
それでも放射熱線とあの咆哮がまた映画館で観れた事には本当に感謝しています。