「人に焦点を当てたエドワーズのカメラワークが映える!」GODZILLA ゴジラ 松本一輝さんの映画レビュー(感想・評価)
人に焦点を当てたエドワーズのカメラワークが映える!
率直な感想としては、とても面白かったです。終始画面に釘付けでした。本作でやっと、ハリウッド版ゴジラの黒歴史である、エメリッヒ版GODZILLAの呪縛を拭えたでしょう。日本のものをハリウッドで映画化すると、大抵ろくなことにならないのですが、本作はしっかりオリジナル版をベースにし、ハリウッドの解釈を入れ圧倒的スケールで描ききった傑作です。随時にエドワーズのゴジラ愛を感じられました。反核の風刺をふんだんに盛りオリジナル版と比べられて、よく批判される本作ですが、ゴジラというキャラクターを使ったパニックムービーなので、そこは全く気になりませんでした。なんなら冒頭のシーンは、核に対するハリウッド的な皮肉なのかなとも思いました。ともあれ、本作最大の魅力は、人間の視点で怪獣が映し出されていることです。本作は、怪獣の戦いよりも、人間に焦点を当てたカメラワークで描かれています。ゴジラを映す映像もあまり、客観的なシーンはなく、人から見える怪獣というコンセプトを大事にしているように思えました。モンスターズを撮ったエドワーズが何故本作の監督に抜擢されたのか、その理由がわかった気がします。もちろん、怪獣同士の戦いを描く所ではしっかり描いていて、ゴジラが光線を放つシーンなんかは圧巻でした。パシフィックリムもそうですが、ハリウッドの巨大なバトルものってなんでこんなに映像が暗いのかな、なんて思いましたが、ちょっとホラーも入っているんですかね。暗い中で戦っている方がよく見えなくて不気味ではありますね。あと、戦い終わった後に、日が昇る象徴的なシーンを描くためなのかなとも思いました。これ当時、劇場で見に行かなかったことが悔やまれる作品でした。唯一ダメ出しするとしたら、日本のシーンです。日本を踏襲していたのはわかりますが、日本人からしてみれば不自然極まりないです。英語で話すなら英語を貫き通して欲しかっですね。所々日本語が流れるのも謎すぎました。渡辺謙は良かったのですが、とりあえず日本人出しとけ感が否めないかなと。マジでハリウッドにおける日本の認識を早く直して欲しいものです。ということて星4.0評価です!