「月世界とかぐや姫の地球の生活の解釈が分り辛い」かぐや姫の物語 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
月世界とかぐや姫の地球の生活の解釈が分り辛い
クリックして本文を読む
総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
かぐや姫の幼少期が独自の解釈で描かれている半面、月のことはあまり描かれていない。地球に憧れてそこでの生活を欲したかぐや姫が、罰として月から降ろされてしまった。だがかぐや姫が月に助けを請うて帰りたいと一度願っただけで、本人の意思に反して強制的に帰還することになってしまうのならば、それは一体なんの罰だったのだろうか。この地に降り立ったのは、鳥や獣のように生きるためとも言っている。そのような生き方に竹から生じる黄金や衣装が必要だろうか、そんなものがあったから勘違いで出世を夢見る都暮らしに繋がったのではないか。かぐや姫の幼年期を描いたのならば、彼女の地球での存在意義や月の世界の事情について、もっとしっかりとした独自の解釈があっても良かったのではないか。すっきりしない部分が残ったし、全体的に何が言いたいのかわかり難さもあった。高畑監督が構想に何年をかけて作り上げた渾身の作品だと思うので、ここはもっとしっかり作っていて欲しかった。
妻子のいる大人になった捨丸が、少年期に一時を過ごしただけのかぐや姫と出会って、すぐに妻子を捨てようとするのも引っかかった。彼に妻子がいない設定ならばまだ許せたのだが。
水彩画のような淡い色調の絵は、大好きとは言わないものの、御伽噺の紙芝居を見ているようで、古い日本の話を描くのに的外れとも思わない。『まんが日本昔話』の竹取物語長編版のようなさっぱりとした話になっている。音楽はもうちょっと和風でも良かったかと思う。結末の場面に関しては、描写と音楽もいい感じだった。
コメントする