「この国に生まれて」かぐや姫の物語 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
この国に生まれて
アニメーションというのは、まず子どもが観て楽しくて、尚且つ子どもを映画館に連れて行く大人の心にも訴えるメッセージも内包しているもの、という思い込みがあるのだが、これはそういう種類のアニメーションではない。多分。
そもそも、日本最古の物語と言われている「竹取物語」は、他の昔話のように、分かりやすい教訓話ではない。
だからこそ、この物語をどう解釈し、どう見せるのかに大きな余地があり、それが製作するにあたっての大きな魅力だったのではないかなと想像する。
まず、“絵が動く”アニメーションとして、新鮮。
色を塗りつぶさない“余白”が、“和”を感じさせ、姫の成長を、梅、木蓮、桜、藤、アザミ、桔梗といった花で季節の移り変わりと共に表現し、四季のある美しい国に生まれたことをあらためて感じさせてくれる。
アニメーションでも洋画の吹替でも、プロの声優ではなく、(主に話題作りを狙った)俳優やタレントのキャスティングには否定的なのだが(餅は餅屋に!)、今作に関しては違和感なく、皆さん、素晴らしい仕事をしていると思う。
アカデミー賞でノミネートされ、受賞が期待されたが、そのメッセージ性においてちょっと分かりにくいものだったことが、多く支持を集められなかった要因だったからかもしれない。
良くも悪くも、日本的過ぎたのかもしれないような
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