「素晴らしいアニメだが好きではない」かぐや姫の物語 まっきMさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしいアニメだが好きではない
世界感は好きだが、キャラクターに違和感が強かった。
キャラクターの動きが「下手な嘘」に見える。
高畑監督の今までの作品を見てきた人はわかると思うが
多くの作品は「上手な嘘」の動きをしてきました
そんな動きはしないし出来ないって事でも、すんなりと受け入れられる説得力があったのに
今回の作品では違和感を強く感じます。
なんというか、ギクシャクした軟体動物のような
また、全体的にキャラクターのディフォルメが変
特に主人公であるかぐや姫のバランスがおかしすぎる。
成長が早い云々ではなく、身体と顔の比率がコロコロ変わっており
頭が大きくなることで、若返って見えたり
急に小さくなってるが、表情は子供だったり
やたら首が太く長いシーンもあった。
また、主要キャラ以外の描き込みの少なさが、狙いであると思う一方で狙いすぎて逆に違和感を感じる。
その部分で‐1
終盤の捨丸とかぐや姫の飛行シーン
川を渡る場面の水面だけが、今どきの3DCGだったのが
気になったので
‐0.5
とはいえ、多くの感想の中で長いと言われてますが
私は長いとは感じませんでした。
あっという間だったとも言えませんが、どこも省いては欲しくないし
捨丸が都に居た理由や帝のその時代の権力を表すような話はもっと深く見たいくらいだった。
「罪と罰」について
昔読んだ本に、須弥山の話があったのを思い出しました。
天上人は感情がなく、「欲」という物がない
下界の性交は天上界では目を合わせる程度の事だという…
最初はそんな感情の無い世界で、感情に憧れた、感情を持ちたいというのが「罪」だと思いました。
しかし、感情の無い世界で「罪」を「憎む」という事があるのか?
本当は「罰」ではなく、ただの戯れだったんじゃないだろうか?
かぐや姫の中で感情が大きく膨らむたびに身体が急成長していく演出
都に行ってからは成長が著しく遅くなっていたこと
「罰」と言いながら、金品で豊かな生活をさせようとする意志からも感じました。
しかし、エンドロールの最中
「罪」とは感情に憧れた事であり
「罰」とは感情を知ったことだと思いました。
泣けました、悲しかった。
もう一度見たいかと聞かれれば、無理です。
良い映画でしたが、もお見たくありません。
悲しすぎました。