「歴代最高の竹取物語」かぐや姫の物語 yesマンさんの映画レビュー(感想・評価)
歴代最高の竹取物語
今まで映像化されてきた竹取物語のなかでは間違いなく最高傑作です。
誰もが知っているはずのお話ですが中身は監督のオリジナル解釈を土台にした感動的な物語になっています。
映像と音楽のすばらしさ、そして声優の方々の名演技については観ていただければ納得できると思います。
しかしこの映画の一番の見どころは深く練りこまれたストーリーです。これについてすこしネタバレ気味になりますが観てみて気付いたことを書いていきます。
まず普通の竹取物語では月への帰還の場面で月世界にて姫が罪を犯したということが語られます。そしてその罰として穢れた地球へと落とされたのだと。
その罰が終わった今、姫は清らかな月へと帰ることになった。これが月側によって語られる姫の罪と罰です。
しかしこのお話、どこかおかしくありませんか?
罪と罰の具体的内容については一切触れられていません。
さらに清らかな月の世界は穢れがない完璧な世界であるはずなのになぜ罪を犯すということがありうるのか。
月の説明は完全に矛盾しているのです。
この矛盾に見事としか言いようがない答えを与えたのがこの映画です。
鋭い方なら一度観ていただければすぐにその答えがわかるかもしれませんが、私は2回見てさらにノベライズ本もよんでようやくこの謎の答えがわかりました。
月世界は浄土のことではないかと言っている人もいますが最後のシーンを見た人ならそれが誤りだとわかります。
あのような楽しげな音楽を奏で、人知を超えた力をもち、そして同時にどこか異様にうさんくさい月世界。
彼らの正体がわかったとたんに、すべての謎が解けました。
そしてその瞬間、今まで誰も思いついたことがなかったかぐや姫の罪と罰が、劇中で最初から最後まで見事に描かれていたことがわかったのです。
これに気付いた時には鳥肌が立ち、一つ一つのシーンや姫の心境の変化などがすべて姫の罪と罰を浮かび上がらせていたことに、驚きと感動で圧倒されました。
ぜひご自身でこの謎に挑んでみてください!
*ヒントは天女のシーンとわらべ歌の歌詞です。