「私が愛したタイガー」タイガー 伝説のスパイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
私が愛したタイガー
おはよう、タイガーくん。
インド諜報機関“RAW”での君の活躍は聞いている。任務を伝える。
ダブリンのキドワイ教授にミサイル情報システムの横流しの疑いがある。接触や監視が任務だ。
敵対するパキスタンの諜報機関“ISI”も動いているらしく、くれぐれも用心してくれたまえ。
任務の成功を祈る。
尚、このメッセージは自動的に…プシュ~。
イギリスにはジェームズ・ボンド、アメリカにはイーサン・ハント、そしてインドにはタイガー!
インド映画のトップスター、サルマーン・カーンが敏腕スパイに扮したインド発スパイ・アクション。
シリーズ化され、後の『WAR/ウォー!!』『PATHAAN/パターン』と世界観を共有する“YRFスパイ・ユニバース”の1作目。
あっちゃこっちゃでユニバースが大流行。
管理官のゴービーと共にダブリンへ。作家と称して教授の自宅に赴く。
そこで家政婦のバイトをしているダンサー志望の学生ゾヤと出会い…。
二人はいつしか恋へ。
任務も遂行。襲撃者と対しながら、遂に突き止めた情報を横流していたのは…
さすがボリウッド。エンタメぎっしり。
アクション。襲撃者とのバトル、街中チェイス、クライマックスの攻防…。暴走する路面電車を停めようとする超人技。インド・アクションなんだから!
スパイ・アクションであり、ラブストーリーである。タイガーとゾヤのラブが話の主軸。ワイルドなサルマーン・カーンと超絶美女のカトリーナ・カイフだからこそ映える。歌もダンスも勿論。
コメディ要素もプラス。前半は平凡な男を演じるタイガーと勝ち気なゾヤのラブコメタッチだが、後半は…。
ちゃんとスパイ映画要素も疎かにならず。ダブリンやイスタンブールやハバナなど世界を股に掛けたロケとアクション。
横流ししていた人物の正体。何と、ゾラ。彼女は、ISIのスパイだった…!
アクションもラブもコメディもベタなら、展開もベタ。
敵対する国同士のスパイが恋に落ちたら…? 二人の運命や如何に…?
タイガーはゾヤに銃口を向け引き金を引くも、その時は見逃す。
次に会った時、互いに想い合っている事を再確認する。
そして二人が選んだのは…、組織を抜け、二人だけの人生を生きる為の逃避行。
そんな二人を組織が追う…。
例えば、ゾヤのバックに黒幕がいて、双方から追われ…ってのはスパイ映画によくありがち。
そうではなく、二人のガチの逃避行。
世界の危機に奔走するスパイ任務を見たかった…とか、途中から完全ラブストーリーじゃん…とか、スパイ・アクションとラブストーリーどっちにしたかったのか、どっち付かず。
勿論面白味はあるが、国に忠誠を誓ったスパイが、任務より愛と自由を選び、スパイも一人の人間である事を訴えるが、ちょっと独善自分勝手で、歴代名スパイたちの風上にも置けない。
二人はまた戻ってくる。
ユニバースの世界へと、RAWとISI、インドとパキスタンの諍いが無くなった時に…。