「心の陽だまり。」陽だまりの彼女 nano-hanaさんの映画レビュー(感想・評価)
心の陽だまり。
ラスト前でしょうか。
ビーチボーイズの曲と共に、涙が止まらなくなりました。
ですが悲しくて号泣するようなものではありません。
泣ききった後に、心の温度がじんわり上がる、まさに陽だまりな作品でした。
基本的にファンタジー色の強いラブストーリーです。
現実ではあり得ない。
だからこそどこか現実離れした綺麗な映像。
いつもの江ノ島も、鎌倉も、とても幻想的に見えました。
切ないのに、どこまでも温かい。
画面の色々な場所から、その温もりが伝わってきます。
幸せいっぱいのシーンでは、こんな恋がしたいなぁとしみじみ思い、キュンとします。
演者の皆さんも素敵でした。
特に主演の上野樹里さんの演技は、(個人的に)のだめカンタービレのはまり役に匹敵するレベルで素晴らしかったです。
彼女のフンワリとした表情が、声が、仕草が、ストーリー全体をゴールまでじっくりと温めてくれました。
影を持ちながらも、好きな人の前では常に笑顔を絶やさない女性。
衣装もお似合いです。
こんな女性になりたいなと、思わずマスタード色のコートが欲しくなりました。
松本潤さんも今までのガツガツとした演技ではなく(良くも悪くも何をやっても松本潤さんというイメージでした)肩の力が抜けた、柔らかな表情をされていて、良い人生の中で歳を取られているアイドルだなぁと感じました。
端正な顔立ち故か、真緒に向ける瞳が優しく印象的です。
これからもこのような役柄に挑戦して頂きたいです。
そして中学生時代の役者さんにも拍手を。
ここまで現在シーンと回想シーンにズレのない役者さんは数少ないです。
驚きました。
最初本当に見間違えてしまいそうになるほどで、演技も雰囲気作りも頑張っておられました。
中学生時代の彼と彼女のシーンがあったからこそ、深みのあるファンタジーになったと感じております。
原作未読のまま行って正解でした。
ジャンル的にチープになりがちな中、頑張ってまとめられた作品だと思います。
オチを知った後にも、もう一度見たくなりました。
甘酸っぱさと、言葉にし難い淋しさが、これからの肌寒い季節にぴったりマッチしていました。公開時期も良かったです。
冬の江ノ島に行きたくなりました。
心温まる映画に感謝。