「好奇心というより正義感」凶悪 marさんの映画レビュー(感想・評価)
好奇心というより正義感
良いらしいとはかねがね、なんだけどけっこうメンタルに響きそうで敬遠してた作品。
結論から言うと、『全員死刑』みたいな非日常感というか
こんな人も世の中にいるのか、といった割と乾いた感想が残った。
個人的には正直、そんなに後味悪くもないし、鬱展開でもないかなと。
ただ暴力とか死体とか、描写がかなりキツめなので見る人を選ぶとは思う。
内容というか作品としては、幸か不幸かピエール瀧の存在感がやっぱり際立つ。
彼がこの役をやったってこと自体に付加価値がついちゃったというか何というか。
タイトルについてだけど、僕はやっぱり「凶悪=正義の押し付け」だと思っちゃったなぁ。
ジャーナリストの藤井は「家庭を犠牲にしても殺人犯は許せない」だし
ヤクザの須藤はシンプルに「裏切りは絶対に許せない」。
先生の場合は「金儲けこそが絶対」みたいな。
傍観者になれとは言わないけども、野次馬根性というか
好奇心までを「悪」だと言い始めたら色んなものが死んじゃうような気がする。
だからラストシーンのあれはきっと観てる側が檻の中というよりは、
藤井が怒りとか恐怖とか、そういうネガティブなものに囚われてしまったっていう描写だと思ってる。結局ね、自分の正義を他人に押し付け始めたときに「悪」が生まれうるんじゃないかなって。
けっして好きな部類の作品ではないけど、心に残るものは確実にあった。
社会を変えるような大きな仕事ができなくたって、
何も不自由しないくらいの大金が稼げなくたって、
手の届く範囲の人たちを少しずつ幸せにしていければ御の字じゃないかなと。
だから今は見てよかったと思ってる。
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