劇場公開日 2013年9月21日

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「人の怖さの一種。」凶悪 ridiy80さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人の怖さの一種。

2015年8月31日
iPhoneアプリから投稿

実在の事件の映画化。保険金殺人、地上げなどの殺しが罪悪関係なく行われること、全く簡単なことのように描かれる。人を殺める事になんのためらいもなく、あるのは金への執着。持つものから奪う、ただそれだけの事。

リリーフランキー、ピエール瀧演じる実在の犯人は一言で言えば箍が外れた人間。けれども彼らが殺人を時に楽しむように犯しながら、自分の身内には甘く、暖かい家庭(のようなもの)を大切にしている。かたや借金の返済のために父親を依頼殺人する家族の地獄感たるや、彼らは借金から逃げれたが、次は罪悪感から逃げ続ける事になる。普通の凶悪でない人々がまるで伝染病のように悪に蝕まれていく様を見事に描いている映画。これは事件を追う山田孝之を同じで、事件の真相に近づくにつれ、どこかで楽しいというか、もちろん使命感が大部分なのだが生きる実感、レーゾンドートルのようなものに取り憑かれるが故に彼らの死を願うようになっていくのもまた伝染病の一種なのか。

ラストで山田孝之の母親を介護施設に入れるシーンは難しい。これは施設に入れるのと殺してしまうのは殆ど一緒なのではないか?という演出にもとれるし、全く違うのも間違いない。殺してしまうのと、施設に入れて介護するのとでは全く違うのだけど、心情的には一緒なのでは、という描き方。

瀧が酒を飲ませて殺すシーでの焼酎にシャブをいれて指でかき混ぜ、「さぁ行くぞぉっ!」と飲ませるシーンは秀逸。

ridiy80