「成熟した関係。」君と歩く世界 ジェンティルさんの映画レビュー(感想・評価)
成熟した関係。
荒くれ男と
心のどこかににぽっかりと穴が開いた(事件前も)女の交流が
心と体とその両方で描かれていく。
「付き合いましょうか?」
とか
「好きです」
とかで始まらない。とてもとてもあからさまな男女の形。
他の女と消えていく男と翌日の会話がよかった。
嫉妬というよりも、諭すように話す。
人間として足りないものが何か、男は少しずつ傷ついた彼女の表情でようやく知っていく。。。
たぶん日本的に言えば受け入れられない状況の場面がいっぱいあると思う。
出てくる女性はばんばん荒くれ男に体を開いてしまうし、男は頭の中は殴り合いと
女のことでなんだかいっぱいだし。
子どもに対しての態度などにもきっと眉をしかめる人が多いんじゃないかなと思えるシーンの連続だったけれど、
それが最後に大きな形として(そうなるであろう伏線もある)現れる。
人に対して細やかな優しさを持たなかった男は、
究極の状態を克服することにおいて、本当に大事なものを2つ手に入れた。
氷を拳で叩きながら、今までどんな男となぐり合っても得られなかったものを最後は手に入れる。
(しかしこのシーン、なんで足で氷を蹴らないんだ!と思ったのは私だけではなかろう!!)
子どもがとても自然でかわいい。
シャチとの再会のシーンでは涙。
肉体的な満足を得て、女性が前向きになるさまもわかりやすくてとてもよかった。
ありきたりな男女の関係ではないけれど、
こういう関係のほうが、ずうっと深い結びつきを得て、あからさまに人間くさいんだなと、うらやましくもなる。
ファイティングシーンも、最高に白熱。
だけど!最後のシーンは拍子抜けしてしまった。
ああするしかなかったのかな。
あまりに平凡な終わり方だったのが残念。
本当にラストだけが残念。。