「すっとぼけた美しさ」嘆きのピエタ wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
すっとぼけた美しさ
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キム・ギドクは韓国のたけしと一部で言われていましたが、個人的にその通りだと思っていて、それは暴力描写ではなく、すっとぼけたシニカルさ、その際の間が似ていると思っています。
うなぎが落ちてピチピチいってるシーン、ギターがド下手なシーン、そしてラストシーンと、隣で芸人さんがツッコミを入れれば笑えるようなシーンだと思います。
これをサスペンスだと思って見たら2流3流になってしまうと思います。現実感の調整でも冷めてしまう方がいるのはうなずけるんですが、「うつせみ」のキム・ギドクですから、そうしてでも描きたいものがあるんだろうと思って見てました。
それが、僕が映画史に残ると思っているラストシーンの美しさです。ここでプラス10点ぐらい加算されました。
サマリアの運転シーンもそうでしたが、泣けるとも笑えるともつかない、今まで味わったことのない色の感情を与えてくれました。
そこでは想像もしたくない凄惨な事が起きてるわけですが、それを俯瞰的に見せて深入りさせず、なんならクスッと、笑いを20倍に薄めたような成分と、陽の登らない早朝の爽やかな空気と、あり得ないし胸糞な色であるはずなのにストレートに美しく感じさせる映像は圧巻でした。
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