劇場公開日 2013年2月9日

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奪命金 : 映画評論・批評

2013年1月29日更新

2013年2月9日より新宿シネマカリテにてロードショー

わかりやすく、おかしく、苦いジョニー・トー版<金融投資入門>

そうだった、3年前、ギリシャの経済危機に端を発するユーロ暴落が起こったのだった。香港公開から数年を要するようになって久しいジョニー・トー作品だが、ユーロの不安定は解消されていないため、映画の背景のような事態はまたいつ起こってもおかしくない。

このトー版<金融投資入門>は、わかりやすく、おかしく、苦い。苦いだけではない、マネー・ゲームは思いがけない僥倖を誰かに舞い込ませる魔法のゲームであることもしっかりみせる、勧めていいやり方ではないが。トーも自らの製作会社<銀河映像>経営者として金策ではいろいろ苦渋を呑まされてきたはずだ。恨み辛みを銀行の金融商品担当のデニス・ホーにぶつけている気配もある。<金融>は手数料で銀行が儲かるだけのシステム、ノルマ遂行のための欺瞞に満ちた犯罪行為ではないか、と銀行の理不尽をつく。香港ではハイリスク・ハイリターン商品購入の際、納得購入の証拠として録音するのか? ノーリターンの際の責任を客に負わせるため? トーは、銀行よりもさらに抜け目のないヤミ金融業者も介在させ、黒社会の投資業務もたくみにドラマに引き込む。さらに警察も<保釈金>狙いでマフィアいじめ(?)、とにかく世知辛いマネー、マネーのカオスだ。ラウ・チンワンは目をしばたかせ、善人マフィアとして相場師の学習もする。

冒頭、警部補リッチー・レンは捜査の合間に妻にせがまれ高騰を続ける高層マンションを見に行く。レンは貧民アパートのほうが性に合うようで気乗りがしない。焦る妻は銀行を訪れ手付け金を作ろうとする、というように描かれる香港生活感情はとてもリアル。

(滝本誠)

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