「ダブルス!ラリー!タッグ!」ハナ 奇跡の46日間 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
ダブルス!ラリー!タッグ!
TikTokのショート・ムービーで、
最近ちょっと感じの良い動画を見たんですよ。
何かの卓球の試合での 女の子のサーブのシーンですね。
⇒ 高く投げ上げた球が中空から落ちてきて、ダブルスの相坊の頭にコツン♪
真剣な表情が一転して笑い転げる可愛らしい二人の動画。
なんだろうな?とは思っていたのですが、コメント欄に「韓国映画のワンシーンなのだ」とあり、早速レンタル。
⇒ くだんのシーンはNGシーンだったようです。
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軍事境界線をはさみ、戦争がまだ終わっていない韓国と北朝鮮。シリアスな両国関係。
ソウル滞在歴のある友人から聞いたが、「戒厳訓練」の晩には、夜通し外出禁止令で、カーテンも開けてはならず、大都市ソウルの、ホテルの前の大通りが銃を持った兵士で埋め尽くされて、夜闇に戦車が市内を走り回っているそうだ。
本当に恐ろしくて彼は窓のカーテンの隙間を閉じたのだと。
そんな厳しい現実に生きながらも、最高のコメディにも挑戦できる制作陣の“ダブルス・タッグの気概”には打たれる。
危機の中にユーモアを見いだせる地頭の良さだ。
シドニー五輪(2000年)の時に見たあの「青い統一旗」。その美しさには僕は目を奪われた。
映画はそれに先立つ1991年に、幾度もの頓挫を経て史上初めて公式に統一旗が掲げられた=千葉県での世界卓球選手権を舞台にしている。
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新垣結衣、真木よう子の「ミックス」、
窪塚洋介、中村獅童の「ピンポン」、
あとDVD化されていないけれど松坂慶子と桃井かおりの温泉場での卓球シーンが愉快な「自由な女神たち」も楽しい。
卓球のラリーは、”対話“なんだと思う。
笑ったり泣いたりしながら、時にはムキになったりもしながらも。
それでもあのピンポン球は、銃弾とは違う。決して人を殺めない愉快さと”おかしみ“がある。
同じ民族同士、同じ言葉を使う血縁・親族同士、国の体制と教育によっていがみ合うように仕向けられる悲しみを、僕ら鑑賞者は見つめなければと思う。
南北を分断させた壮絶な朝鮮戦争と、その結果によって、
あの戦争の片方に組みし、“お先棒を担いで”特需とやらでさんざんに儲けさせてもらった我が国の後ろめたさを、
僕らは覚えていなければ。
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卓球をやっていた息子のことも思い出してチョイスした本作品、
息子たちとラケットを持ってもっと向き合ってやれば良かったナーと後悔だ。